【3月27日 AFP】国連(UN)の潘基文(パン・キムン、Ban Ki-moon)事務総長は26日、シリアで化学兵器が使用された疑惑の調査団の団長にスウェーデンの科学者を指名し、国連安全保障理事会常任理事国5か国の科学者の参加を認めない方針を決めた。外交官らが26日、述べた。調査団の明確な調査事項はまだ発表されていないが、国連は、化学兵器攻撃を使ったのが誰であるかを突き止めることが目的ではないと述べている。

 団長に指名されたオーケ・セルストロム(Ake Sellstrom)氏は、1990年代にイラクの兵器査察を行った国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)で最高顧問を務めた他、国連の大量破壊兵器の廃棄に関する特別委員会(UNSCOM)の査察主任も務めた著名な専門家で、化学兵器、生物兵器、放射線、核兵器などの大規模事件を専門としている。

 常任理事国の研究者に調査団入りを認めなかったのは、シリア情勢をめぐる対立が理由だと外交官らは述べている。シリアのバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)政権の主要支持国であるロシアは、調査団から排除されたことにいら立ちを表明した。

 シリア政府は、反体制派が3月19日にアレッポ(Aleppo)で化学兵器を使った疑いがあるとして調査を要請していた。一方、英国とフランスは、シリア政府がアレッポとダマスカス(Damascus)近郊で化学兵器を使ったという反体制派の主張を調べるよう求めていた。またロシアは、限定的な調査を求めているシリア政府の主張を強く支持していた。

 国連は、「当面の焦点」はシリア政府側の主張になるとだけ述べている。

 国連のマーティン・ネシルキー(Martin Nesirky)報道官は「ミッションの調査事項は(調査団のメンバーも含めて)最終調整中」と述べ、「犯罪捜査ではなく、専門的なミッションになる。(調査団の)目的は化学兵器が利用されたどうかを究明することであり、誰がそれを使ったかを調べることではない」と語った。(c)AFP