【3月15日 AFP】2003年3月に開戦したイラク戦争では、2011年の米軍撤退までにイラク民間人11万6000人と多国籍軍兵士4800人が犠牲となったことが、15日発表された米大教授らの報告書で明らかになった。

 また、イラク介入に伴う米国の財政負担は既に8100億ドル(約78兆円)に上っているが、最終的には3兆ドル(約288兆円)に達する見込みだという。

 報告書は、イラク開戦10周年を機に米タフツ大学(Tufts University)医学部のバリー・レビー(Barry Levy)教授とアルバート・アインシュタイン医科大学(Albert Einstein College of Medicine)のビクター・シデル(Victor Sidel)教授が、各専門誌で発表された研究結果や政府・国際機関の報告書、ニュース記事などからイラク戦争のコストや人的被害をまとめ、英医学専門誌ランセット(The Lancet)に発表したもの。

 それによると、2003年~11年の8年間に死亡した非戦闘員のイラク人は、少なくとも11万6903人に上った。さらに、医療関連設備が破壊されたことで多くのイラク民間人がけがや病気を悪化させる結果となったほか、500万人が住む家を失ったという。

 米軍側の被害としては、3万1000人以上の米兵がイラクで負傷し、派兵された兵士のうちの相当数がPTSD(心的外傷後ストレス障害)や外傷性脳損傷、神経心理学的障害や社会生活への不適応といった問題に苦しんでいると指摘している。(c)AFP