【3月2日 AFP】フィリピン人の自称スルタン(イスラム王朝の君主)の支持者らがボルネオ(Borneo)島のマレーシア領内に立てこもり、治安当局とのにらみ合いから発展した銃撃戦で14人が死亡した事態を受け、マレーシア当局は2日、「思い切った対応」に踏み切ることもあり得ると警告した。

 マレーシアのボルネオ島サバ(Sabah)州では2月12日からイスラム教国スールー(Sulu)王国の継承者を名乗る人物を信奉するフィリピン人たちが立てこもり、大量動員されたマレーシアの警察と軍がこれを包囲している。警察によると1日に発生した銃撃戦で、立てこもっていた勢力の12人とマレーシア治安部隊の隊員2人が死亡した。

 サバ州の警察本部長はAFPの取材に対し「すぐに投降させたい。しなければ彼らに対し、思い切った措置に踏み切るだろう」と述べた。フィリピンのベニグノ・アキノ(Benigno Aquino)大統領は、武装してボルネオ島に立てこもっているフィリピン人らに対し、投降するよう呼び掛けた。

 全体で100~300人に上るとみられるフィリピン人たちは、ボルネオ島に近いフィリピン領内の複数の島からボートでやって来て上陸。サバ州一帯は、自分たちの指導者であるジャマルル・キラム3世(Jamalul Kiram III、74)に属する地域だと主張している。

 キラム3世は、かつてフィリピン南部の一部とボルネオ島の一角を支配したスールー王国の継承者を名乗っている。スールー王国の力は今から約100年前に衰えたが、欧州列強による植民地時代に交わされた租借地契約を引き継いだマレーシア政府から、サバ州について名目上の租借料が支払われている。(c)AFP/M. Jegathesan