「アルカイダ3.0」、元CIAのテロ対策専門家が分析
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【1月30日 AFP】歴代4人の米大統領に助言した米中央情報局(CIA)元高官で、シンクタンク「ブルッキングス研究所(Brookings Institution)」のテロ対策専門家、ブルース・リーデル(Bruce Riedel)氏が、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)の2001年以降の変遷についてAFPの取材に語った。
■2001年9月11日の米同時多発テロ以降のアルカイダの状況は?
ブルース・リーデル氏:「われわれは現在、アルカイダの第3世代への進化を目撃している。私の言い方でいえば『アルカイダ3.0』だ」
「第1世代はアルカイダを生み出した世代で、9月11日の攻撃に至るまで。第2世代はおおまかにアフガニスタンのタリバン(Taliban)政権崩壊からオサマ・ビンラディン(Osama bin Laden)容疑者の死とアラブの春まで」
「第3世代はわれわれが現在直面しているもので、多くの意味でこれまでで最も脅威だ。なぜならば、アラブの春を起こしたわけでもなく、予期もしていなかったアルカイダが、その結果を活用しているからだ」
「特にリビア東部、マリ北部、シナイ半島(Sinai)、それからシリアもを占めつつある広い範囲に統治されていない、無法地帯が生じたことを利用し、潜伏先や不可侵の領域を作っている」
「つまり、アルカイダ第3世代は作戦行動や訓練、策略を行うための空間を、2001年のタリバン政権崩壊以降のアルカイダのどれよりも多く持っている」
■そうした進化を受けて、脅威への欧米諸国の対抗戦略はどのようなものにすべきか?
リーデル氏:「これら全てに対応できる単一の解決策は存在しない。それぞれのケースに合わせた方策をとらなければならない。マリについて言えば、マリだけでは済まない。マリとリビアとアルジェリアの問題だ。まず潜伏先を破壊するという戦略をとらなければならない。これはフランス軍が現在マリで行っている。次に、この空白地帯を新たな統治で埋める必要がある。言うのは簡単だが実行は極めて困難だ」
「これら地域の大半には一度も良い統治が存在したことがない。マリ北部、リビア東部、シリア、これらの地域は何十年も警察国家が統治してきた。古い警察国家を新しい警察国家で置き換えるようなことはしたくない。だがイスラム世界に、北アフリカから南アジアまでの統治なき空間を残しておけば、アルカイダがこれらの隙間を埋め、そこに不可侵の領域を作り、北米と欧州に脅威を及ぼすだろう」
■「イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ組織(Al-Qaeda in the Islamic Maghreb、AQIM)」の脅威はどのようにみているか?
リーデル氏:「AQIMはアルカイダ系組織の中でも最も急速に成長している。マリに米テキサス(Texas)州に匹敵する広大な潜伏先を持っている。そしてリビアにも別の潜伏先があることが徐々に明らかになってきた。同組織には過去10年間に誘拐事件の身代金として払われた資金が流れ込んでおり、またカダフィ政権から流出した武器で十分に武装している」
「そしてAQIMは世界中のイスラム聖戦士を引き付けている。パキスタンだけでなくアラブ世界全体から。さらにはナイジェリアなどサハラ以南のアフリカ諸国からも合流する者が増えている」
「AQIMの現在の焦点は地域的なものだが、彼らがシオニスト十字軍と呼ぶ存在への攻撃にも同様に力を注いでいる。AQIMの一番の標的はフランスだ」
■アルジェリア天然ガス施設の人質事件は新たな戦術なのか、旧来の手法なのか
リーデル氏:「テロリスト、特にアルカイダは、他のテロリストの行動にしばしば影響されている。人質をとって交渉するというのは昔からのテロリストの戦術だ。今月アルジェリアで起きた事件で新しかった点は、あれほど大規模なガス施設を標的にしたことにある」
「アルジェリアにおけるイスラム聖戦士による長年のテロ攻撃で、対象となった施設の規模、作戦の洗練度、テロリストの人数、テロリストの出身地の多様さという点で、これほどの攻撃はこれまでなかった。非常に洗練された作戦だった。この事件は今後のAQIMの行動の前触れに過ぎないのではないかと私は懸念している」
■米国はアルカイダ幹部の殺害作戦を重視してきた。この方針は変わるか?
リーデル氏:「ビンラディン容疑者のような幹部を標的にすることは戦略の重要要素だが、戦略の全体ではない。国家建設が必要だ。そして何よりも、不満を生みだしている問題を解決するための外交が重要だ」
「アルカイダを究極的に打倒したいのであれば、アルカイダへの志願をあおる激しい怒りを生み出している問題を解決しなければならない。リストの最上位は、当然のことながら、パレスチナ問題だ」
「パレスチナ人の悲願を解決することに欧米の権益がある。それが倫理的に正しいからだけでなく、われわれの国家安全保障上の利益になるからだ」
(c)AFP
■2001年9月11日の米同時多発テロ以降のアルカイダの状況は?
ブルース・リーデル氏:「われわれは現在、アルカイダの第3世代への進化を目撃している。私の言い方でいえば『アルカイダ3.0』だ」
「第1世代はアルカイダを生み出した世代で、9月11日の攻撃に至るまで。第2世代はおおまかにアフガニスタンのタリバン(Taliban)政権崩壊からオサマ・ビンラディン(Osama bin Laden)容疑者の死とアラブの春まで」
「第3世代はわれわれが現在直面しているもので、多くの意味でこれまでで最も脅威だ。なぜならば、アラブの春を起こしたわけでもなく、予期もしていなかったアルカイダが、その結果を活用しているからだ」
「特にリビア東部、マリ北部、シナイ半島(Sinai)、それからシリアもを占めつつある広い範囲に統治されていない、無法地帯が生じたことを利用し、潜伏先や不可侵の領域を作っている」
「つまり、アルカイダ第3世代は作戦行動や訓練、策略を行うための空間を、2001年のタリバン政権崩壊以降のアルカイダのどれよりも多く持っている」
■そうした進化を受けて、脅威への欧米諸国の対抗戦略はどのようなものにすべきか?
リーデル氏:「これら全てに対応できる単一の解決策は存在しない。それぞれのケースに合わせた方策をとらなければならない。マリについて言えば、マリだけでは済まない。マリとリビアとアルジェリアの問題だ。まず潜伏先を破壊するという戦略をとらなければならない。これはフランス軍が現在マリで行っている。次に、この空白地帯を新たな統治で埋める必要がある。言うのは簡単だが実行は極めて困難だ」
「これら地域の大半には一度も良い統治が存在したことがない。マリ北部、リビア東部、シリア、これらの地域は何十年も警察国家が統治してきた。古い警察国家を新しい警察国家で置き換えるようなことはしたくない。だがイスラム世界に、北アフリカから南アジアまでの統治なき空間を残しておけば、アルカイダがこれらの隙間を埋め、そこに不可侵の領域を作り、北米と欧州に脅威を及ぼすだろう」
■「イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ組織(Al-Qaeda in the Islamic Maghreb、AQIM)」の脅威はどのようにみているか?
リーデル氏:「AQIMはアルカイダ系組織の中でも最も急速に成長している。マリに米テキサス(Texas)州に匹敵する広大な潜伏先を持っている。そしてリビアにも別の潜伏先があることが徐々に明らかになってきた。同組織には過去10年間に誘拐事件の身代金として払われた資金が流れ込んでおり、またカダフィ政権から流出した武器で十分に武装している」
「そしてAQIMは世界中のイスラム聖戦士を引き付けている。パキスタンだけでなくアラブ世界全体から。さらにはナイジェリアなどサハラ以南のアフリカ諸国からも合流する者が増えている」
「AQIMの現在の焦点は地域的なものだが、彼らがシオニスト十字軍と呼ぶ存在への攻撃にも同様に力を注いでいる。AQIMの一番の標的はフランスだ」
■アルジェリア天然ガス施設の人質事件は新たな戦術なのか、旧来の手法なのか
リーデル氏:「テロリスト、特にアルカイダは、他のテロリストの行動にしばしば影響されている。人質をとって交渉するというのは昔からのテロリストの戦術だ。今月アルジェリアで起きた事件で新しかった点は、あれほど大規模なガス施設を標的にしたことにある」
「アルジェリアにおけるイスラム聖戦士による長年のテロ攻撃で、対象となった施設の規模、作戦の洗練度、テロリストの人数、テロリストの出身地の多様さという点で、これほどの攻撃はこれまでなかった。非常に洗練された作戦だった。この事件は今後のAQIMの行動の前触れに過ぎないのではないかと私は懸念している」
■米国はアルカイダ幹部の殺害作戦を重視してきた。この方針は変わるか?
リーデル氏:「ビンラディン容疑者のような幹部を標的にすることは戦略の重要要素だが、戦略の全体ではない。国家建設が必要だ。そして何よりも、不満を生みだしている問題を解決するための外交が重要だ」
「アルカイダを究極的に打倒したいのであれば、アルカイダへの志願をあおる激しい怒りを生み出している問題を解決しなければならない。リストの最上位は、当然のことながら、パレスチナ問題だ」
「パレスチナ人の悲願を解決することに欧米の権益がある。それが倫理的に正しいからだけでなく、われわれの国家安全保障上の利益になるからだ」
(c)AFP