【1月17日 AFP】アルジェリア南東部イナメナス(In Amenas)の天然ガス関連施設で起きた襲撃事件で17日、武装グループのメンバーが中東の衛星テレビ、アルジャジーラ(Al-Jazeera)に対し、日本人の人質1人が負傷していると語った。この事件では日本人を含む外国人41人がイスラム武装勢力に人質にとられているとみられており、プラント建設メーカーの日揮(JGC Corporation)は同施設で社員5人がイスラム武装勢力に拘束されたようだと発表している。

 人質をとって立てこもっている武装グループは現在、アルジェリア軍に包囲されているが、インタビューに応じたメンバーによると、アルジェリア軍の発砲により外国人の人質1人が負傷したという。負傷した外国人は日本人と見られている。また人質の数は伝えられている41人で「おおよそ合っている」と話しており、国籍については日本人のほかノルウェー人、フランス人、米国人、英国人、ルーマニア人、コロンビア人、タイ人、フィリピン人、アイルランド人、韓国人、ドイツ人と語った。

 この武装グループのメンバーは、交渉を始めるにあたり、まず軍の撤退を武装勢力側の条件として挙げた。また隣国マリで拘束されている仲間の解放も要求した。

■アルジェリア内相が語る「実行犯」

 これに先立ちアルジェリアのダフ・ウルドカブリア(Dahou Ould Kablia)内務相は、同国軍と警備員らが武装グループを包囲しており、「テロリスト」との交渉には応じないと国営テレビで語っていた。ウルドカブリア内務相によると、実行犯は同地域を拠点として活動する武装勢力のメンバーら20人ほどで、報道で伝えられているような隣国マリやリビアから侵入したグループではないとした。

 またウルドカブリア内務相は、グループを率いるのは最近まで「イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ組織(Al-Qaeda in the Islamic MaghrebAQIM)」の幹部だったモフタール・ベルモフタール(Mokhtar Belmokhtar)氏であると述べている。片目の眼帯姿で知られるベルモフタール氏はこれまでにもアルジェリア人や外国人の拉致・殺害に関与してきた人物とされる。

 事件については、イスラム武装勢力「イスラム聖戦士血盟団(Signatories for Blood)」と名乗るグループが「アルアハバル(Al-Akhbar)」紙のモーリタニアのウェブサイト上に犯行声明を出した。声明はフランス軍によるマリでの空爆に協力したアルジェリアへの報復であるとしながら、マリでの攻撃停止をフランスに要求している。

■錯綜する情報

 AFPの電話取材に応じた天然ガス関連施設で働くある作業員によると、実行犯らは、人質解放の条件としてアルジェリアに拘束されているイスラム武装組織メンバー100人の釈放を要求しているという。

 また施設に食料などを調達していた仏ケータリングCISによると、武装グループは60人ほどで、国籍にかかわらず施設にいた外国人全員を縛っていたという。現場にいたアルジェリア人社員の話として仏紙の取材で語った。

 ノルウェーの国営石油会社スタトイル(Statoil)は、事件発生当時、施設内にいた作業員は20人ほどだったとしている。(c)AFP/Beatrice Khadige