【1月7日 AFP】シリアのバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領は6日、首都ダマスカス(Damascus)で演説し、国民に向けて内戦状態終結の行程表を提示した。この中で、同大統領は反体制派勢力を欧米の「奴隷」と決めつけ、外国勢力に対し反体制派支援を止めるよう呼びかけた。

 アサド大統領が示した行程は、第1段階として「政権転覆を狙う反政府武装勢力」への支援を外国が停止すれば、政権側は軍事攻撃を停止し、停戦監視の仕組みを設けるとした。

 次に、外国からの指図を受けていないシリア内外の反体制派と対話に臨み、新憲法の起草に向けた国民対話会議を開催。続いて国民投票、議会選挙を行い新政府を立ち上げると述べた。

 アサド大統領は、紛争の解決はシリア人のみによって行わなければならず、また国民対話会議での合意が必要だと強調した。
 
 一方、アサド大統領の即時退陣を要求している「シリア国民連合」は、演説はアサド政権維持を求める者たちに向けられたもので、「(アサド氏は)シリア国民の願いにかなう構想や、最終的に自分の退陣と政権解体につながる構想は受け入れない」と批判し、行程表を即座にはねつけた。

 また米国務省のビクトリア・ヌーランド(Victoria Nuland)報道官も「(アサド)政権が権力への固執を改めて示したもので、政治移行というシリア国民の目標へ向かっては何も進めておらず、現実とは程遠い」と語った。

 アサド大統領は昨年6月3日の議会演説以来、公の場に姿を見せていなかった。同11月には露テレビとのインタビューで「シリアで生き、シリアで死ぬ」と述べて亡命の可能性を否定している。

 国連(UN)によれば、1年9か月におよぶ政権側と反体制派側との戦闘による死者は6万人を超えている。(c)AFP