【12月25日 AFP】シリア問題をめぐる国連(UN)とアラブ連盟(Arab League)のラクダール・ブラヒミ(Lakhdar Brahimi)合同特別代表は24日、ダマスカス(Damascus)でバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領と会談した。

 ブラヒミ氏は、会談は「友好的で建設的」だったと述べたが、犠牲者の多さを考えるとシリア危機は「憂慮すべきだ」と述べた。反体制蜂起が始まった2011年3月以降の死者は4万4000人を超えたとみられている。

 会談の数時間後にダマスカスではクリスマスのミサが行われ、集まった約1000人が平和が戻るよう祈った。

■パン直売店空爆で政権を激しく非難

 ブラヒミ氏がダマスカスに入った23日にはシリア中部ハマ(Hama)県のハルファヤ(Halfaya)でパン直売店が政府軍の空爆を受け、少なくとも60人が死亡した。

 シリア反体制派の統一組織「シリア国民連合(National Coalition of Forces of the Syrian Revolution)」はこの爆撃を「乏しい日々のパンの配給を受け取るために来ていた子供、女性、男性を狙った虐殺」と呼んで政府を非難したが、国営シリア・アラブ通信(SANA)は「武装テロリスト」(シリア政府は反体制派をこう呼ぶ)の犯行だと報じている。

 またシリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)によるとハマ県では、イスラム過激派「ヌスラ戦線」(Al-Nusra Front)などの武装グループがアサド大統領が属するイスラム教アラウィ(Alawite)派の住民が暮らすマーン(Maan)村の大部分を制圧した。各宗派の居住地域がパッチワーク状に存在するハマ県では前週、反体制派が政府軍の陣地に対する総攻撃を始めていた。

■ホムスではガス爆弾で6人死亡

 一方シリア中部のホムス(Homs)では戦闘中に政府軍が使用した爆弾から発生した「無臭のガスと白い煙」を吸った反体制派の6人が23日夜に死亡した。シリア人権監視団のラミ・アブドル・ラーマン(Rami Abdel Rahman)代表はAFPに、「活動家たちはこんなことは初めてだと言っている。通常の兵器ではなかった」と述べた。

 シリア人権監視団は赤十字国際委員会(International Committee of the Red CrossICRC)にホムスへの緊急医療チームの派遣を要請した。(c)AFP