【9月28日 AFP】国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)などの人道支援機関は27日、内戦状態のシリアを逃れる難民が2012年末までに70万人に達するとの見通しを示し、国際社会に支援の拡大を要請した。

 シリアで残虐な戦闘が始まってから1年半が経過し支援の必要性が高まる中、人道支援機関は年末まで支援を継続するため、国際社会に要請する資金の額を4億8790万ドル(約379億円)に引き上げた。

 UNHCRのシリア難民担当チーフ・コーディネーター、Panos Moumtzsis氏は、スイス・ジュネーブ(Geneva)で行った記者会見で「近隣諸国へ逃れるシリア難民は年内に最大70万人に達する可能性がある」、「われわれにはあまり時間がない」と述べた。

 UNHCRはシリア難民対策を6月に初めて見直したが、この時点で想定していた難民の数は18万5000人。その後、難民は3倍に膨れ上がり、8月だけでも10万人、9月はこれまでに6万人がシリアを逃れたという。

 Moumtzsis氏は、現在、支援に充てられる資金は1億4150万ドル(約110億円)と要請総額の29%程度にとどまっていると指摘し、支援拡大要請の緊急性を強調した。また、数か月続く非常に厳しい冬が近づいていることから、冬用テントや衣類、毛布、暖房器具が必要だと説明した。

 今回の声明発表に加わった国連児童基金(ユニセフ、UNICEF)によれば、シリア難民のうち半数超が18歳未満で、5分の1が5歳未満だという。子どものための国際NGO「セーブ・ザ・チルドレン(Save the Children)」は、シリアからの難民を受け入れている周辺諸国(イラク、ヨルダン、レバノン、トルコ)では、「非常に多くの女性と子どもが支援を必要としている」と訴えた。(c)AFP/Daniel Johnson