【9月5日 AFP】シリアを訪問している赤十字国際委員会(International Committee of the Red CrossICRC)のペーター・マウラー(Peter Maurer)委員長は4日、バッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領と会談し、内戦状態が続く同国の人道的状況に対する懸念を表明した。ICRCの報道官が明らかにした。

 シリアでは首都ダマスカス(Damascus)やアレッポ(Aleppo)で爆撃や戦闘が多発し、流血の事態が続いている。

 マウラー委員長は45分間の会談の中で、アサド大統領に国際人道法を尊重するよう強く求めたほか、紛争地域における人道支援拡大の必要性を説いた。

 シリアの国営テレビが報じたところによると、アサド大統領はマウラー委員長に、中立性と独立性が維持される限り、赤十字国際委員会がシリアで人道支援活動を行うことを支持すると述べた。

 7月1日に新委員長に着任したマウラー委員長は3日夕、シリアに到着。アサド大統領やファイサル・メクダド(Faisal Mekdad)副外相と会談した。他のシリア政府高官とも会談する予定だ。

 シリアではここ数週間、全国的に暴力が急増している。シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)によれば、8月だけで5000人を超える人が死亡した。また、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が4日発表したところによると、8月にシリアから近隣諸国へ逃れた避難民は10万人を超えた。UNHCRの報道官は、2011年3月に反体制行動が始まって以来、月間の避難民の数としては最も多いと話した。(c)AFP