【8月17日 AFP】国連安全保障理事会(UN Security Council)は16日、戦闘が続くシリアで停戦監視にあたっていた国連シリア監視団(UN Supervision Mission in SyriaUNSMIS)に、19日に切れる任期を延長せずに撤収するよう命じた。

 国連は当初4月に約300人からなる非武装の停戦監視団を派遣したが、戦闘の激化を受けて6月に活動を一時停止し、人員を削減していた。

 安保理はまた、今月末の辞任を表明した国連とアラブ連盟(Arab League)のシリア特使、コフィ・アナン(Kofi Annan)前国連事務総長の後任者を支援するため、ダマスカス(Damascus)に連絡事務所を設置するという潘基文(パン・キムン、Ban Ki-moon)国連事務総長の案を支持した。アナン氏の後任にはラクダール・ブラヒミ(Lakhdar Brahimi)元アルジェリア外相を選出する方向で交渉が進められている。

 エドモンド・ミュレ(Edmond Mulet)国連PKO局事務次長補は、連絡事務所は政治、人道支援、軍事の専門家20~30人の陣容になるとみられ、シリアのバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領も連絡事務所設置を了承していると述べた。ミュレ氏によると現在シリアにいる現在停戦監視員101人と文民スタッフ72人は、24日までに全員がシリアを離れる予定だという。
 
■ロシア、停戦期限設定を提案

 一方、ロシアのビタリー・チュルキン(Vitaly Churkin)国連大使は、シリアでの暴力を速やかに終わらせるため、イランやサウジアラビアも含む国際社会がシリア政府と反体制派が停戦して交渉団を任命する期限を設定することを提案した。

 チュルキン国連大使は6月30日にスイス・ジュネーブ(Geneva)でロシア、米国、英国、フランス、中国などの外相が出席してシリア問題について話し合ったいわゆる「ジュネーブ行動グループ」の国連大使の会議を19日に米ニューヨーク(New York)で開くことを呼びかけた。

 だが、米国務省のビクトリア・ヌーランド(Victoria Nuland)報道官が「この会議の目的が分からない」と話すなど、西側諸国がこの会議に出席するかは不透明だ。(c)AFP/Tim Witcher