【7月30日 AFP】シリア北部の都市アレッポ(Aleppo)では、28日に始まった反体制派に対する政府軍の猛攻が29日も続き、激しい戦闘になった。

 2日かけて集結した政府軍部隊は28日にアレッポ南西部のサラヘディン(Salaheddin)地区への攻撃を開始した。戦車とヘリコプターが政府軍部隊を支援した。20日にアレッポの大半を制圧した反体制派は同地区に集結していた。

 シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)によると、反体制派は28日の同地区への攻撃を撃退し、29日は主にこの地区で戦闘になったという。同監視団のラミ・アブドル・ラーマン(Rami Abdel Rahman)代表は、同地区の外れで衝突が起きたとAFPに語るとともに、アレッポは「全面的な市街戦」になっていると説明した。

 シリアの反体制派組織、シリア国民評議会(Syrian National CouncilSNC)は、アレッポで「虐殺」をする準備をしているとしてシリア政府を批判し、反体制派が政府軍の猛攻に対抗できるように重火器の提供を求めた。また緊急会合を開催して、衝突に巻き込まれた民間人を保護する方策を議論するよう国連(UN)に求めた。

 シリアのワリード・ムアレム(Walid al-Muallem)外相は主要同盟国のイランを電撃訪問し、反体制武装勢力はアレッポで「間違いなく打ち負かされるだろう」と述べた。一方、反体制派の自由シリア軍(Free Syrian ArmyFSA)の司令官は、アレッポは政府軍の戦車の「墓場」になると豪語した。

 AFPの特派員によると、人口約250万人のアレッポに残された市民は砲撃やヘリコプターの攻撃を逃れようと地下室に殺到しているという。国連のバレリー・アモス(Valerie Amos)人道問題担当事務次長は声明の中で、28~29日の2日間で20万人の民間人がアレッポを逃れた一方、人数は分からないがアレッポ市内の学校や公共施設に避難している人もいると述べ、アレッポやシリアの首都ダマスカス(Damascus)などで戦車や重火器による民間人への影響に重大な懸念を示した。(c)AFP