【7月13日 AFP】(一部更新、写真追加)シリア中部ハマ(Hama)近郊の村で12日、政府軍が戦車とヘリコプターで村を攻撃し150人以上を虐殺したと、シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)が明らかにした。同監視団は当初、死者数を100人以上と発表していた。一方、反体制派組織の司令官は200人が虐殺されたとしている。

 AFPの電話取材に応じたシリア人権監視団のラミ・アブドル・ラーマン(Rami Abdel Rahman)代表によると、政府軍は戦車とヘリコプターでTreimsa村を攻撃し、これまでに30人の遺体の身元が確認されたという。

 だが、北部で反体制派を率いるアブ・モハマド(Abu Mohamad)氏はAFPに対し13日早朝、殺害されたのは200人を超えると述べた。同氏はTreimsa村の住民から電話で聞いた話として、村を攻撃したのは政府軍と政府支持の民兵組織「シャビハ(Shabiha)」で、12日午前11時ごろから午後9時ごろまで爆撃が続いたと説明した。

 一方、ハマを拠点とするアブ・ガジ(Abu Ghazi)と名乗る活動家はAFPに対し、攻撃は朝6時ごろから始まり、多くの村人が逃げ込んだモスクも無差別に砲撃したとインターネット電話スカイプ(Skype)を通じて証言している。この活動家によると村の人口は7000人ほど。また村に住む別の活動家によれば、軍用車両30台ほどが村を包囲し、逃れようとした村人は皆銃撃されたという。

■6月に虐殺起きた村の近く

 Treimsa村は、6月に少なくとも55人が虐殺されたクベイル(Al-Kubeir)村とさほど離れておらず、いずれも住民は反体制派主流のイスラム教スンニ派(Sunni)だった。一方でバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領と同じイスラム教アラウィ派の村も近くにある。

 国営シリア・アラブ通信(SANA)は、Treimsa村では軍と「武装テロリスト」との衝突が続いており、多数のテロリストが死亡したと伝え、また政府軍からも3人の犠牲者が出たと報じたが、死者の総数や虐殺については触れていない。

 前出のハマのアブ・ガジ氏は、北西部イドリブ(Idlib)、中部ホムス(Homs)、北部アレッポ(Aleppo)郊外の大部分を反体制派が支配していることから、政府側は国の中心に位置しこれらの地域を結ぶハマをどうにかして支配下に置こうとしていると指摘した。

 シリア人権監視団によると、12日だけでシリア全土で200人以上が死亡したという。(c)AFP