【6月22日 AFP】シリア軍を離反したパイロットが操縦するロシア製のミグ21(MiG-21)戦闘機が21日、シリア国境に近い隣国ヨルダンのマフラク(Mafraq)にある軍の基地に緊急着陸した。ヨルダン政府は操縦していたハッサン・メレイ・ハマデ(Hassan Merei al-Hamade)大佐の政治亡命を認めた。前年3月に始まったシリアの反体制行動でこの種の事例は起きたのは初めて。

 シリアの国営テレビによるとこの戦闘機は21日午前10時34分(日本時間同日午後4時34分)に国境付近で連絡が取れなくなり、ヨルダン政府によるとその数分後に国境を越えた。

 シリアの反体制派組織、シリア国民評議会(Syrian National CouncilSNC)は、この戦闘機はシリア南部のダルアー(Daraa)とスウェイダ(Sweida)の間にある軍の基地を猛スピードで離陸し、レーダーで探知されないよう低空を飛行したと発表した。パイロットはシリア東部デリゾール(Deir Ezzor)の、バッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領の体制に反対していることで知られる家の出身だという。

 シリア国防省は声明でパイロットを非難するとともに、ヨルダン政府に機体の返還を求めたことを明らかにした。

 米国はこの離反劇を歓迎している。米国家安全保障会議(National Security Council)のトミー・ビーター(Tommy Vietor)報道官は、「アサド体制が行っている恐ろしい行為を拒否する人による数多くの事例の1つで、同様のことは今後も起きるだろう」と述べた。

 米国務省のビクトリア・ヌーランド(Victoria Nuland)報道官は、「2500万ドル(約20億円)の航空機を奪って別の国に飛ぶというのは明らかに大きな出来事だ」と述べた。(c)AFP