【6月12日 AFP】国連(UN)は12日、シリア政府軍が子どもを拷問、処刑し、反政府勢力への攻撃の際には子どもたちを「人間の盾」として使ったと非難する報告書を発表した。

 国連は毎年、子どもたちが犠牲になり、拷問され、戦闘を強要される紛争国をまとめた「List of Shame(不名誉のリスト)」を公表している。国連は、シリアがその中でも最悪の違反者の1つだと非難した。

 人権団体は、バッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領に対する15か月間の民衆蜂起の中、およそ1200人の子どもが死亡したと推計している。民衆蜂起「アラブの春(Arab Spring)」に触発された抗議デモを厳しく弾圧するアサド政権に対し、国際社会からは批判が集まっている。

 紛争地域における子どものための国連の特別代表を務めるRadhika Coomaraswamy氏は、報告書の発表を前に、AFPの取材に「シリアで子どもたちに行われているほどの残虐さを見たことは、ほとんどない。シリアでは少年少女が拘禁され、拷問され、処刑され、人間の盾として使われている」と語った。

 報告書によると、政府軍は3月9日、シリア北西部イドリブ(Idlib)県のAyn l'Arouz村を襲撃する際に8~13歳の少年数十人を集めた。「兵士や民兵らは、自分たちの乗るバスの窓の前に子どもたちを置き、人間の盾として使った」

 国連の「List of Shame」には、シリア政府と政府に協力する民兵組織などがリストアップされた。他にはスーダンやイエメンの組織や政党がリストに並んだ。

 同リストには11か国の52組織が掲載されており、アフガニスタン国家警察から反米武装勢力「ハッカニ(Haqqani)」、ウガンダの反政府勢力「神の抵抗軍(Lord's Resistance ArmyLRA)」、スーダンの武装組織やダルフール(Darfur)の反政府グループなどが名を連ねる。

 報告書によると、シリアでは、最年少で9歳の子どもたちが、殺害、暴行、恣意的な逮捕、拘禁、拷問、性的暴行や人間の盾としての利用を含む不当な扱いの犠牲になっている。(c)AFP

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