【6月1日 AFP】国連(UN)の潘基文(パン・キムン、Ban Ki-moon)事務総長は5月31日、トルコのイスタンブール(Istanbul)で開かれたフォーラムで講演し、前週虐殺事件が起きたシリアが「破滅的な内戦」に突入する恐れがあると述べた。

 潘事務総長は、国連とアラブ連盟(Arab League)のシリア特使、コフィ・アナン(Kofi Annan)前国連事務総長が仲介した調停案の履行をシリア政府に求めると明言した。

 調停案には4月12日から施行されるはずだった停戦が盛り込まれているが、これまで連日停戦違反が繰り返されている。潘事務総長はまた、「前週末に起きたような大虐殺は、破滅的な内戦、決してそこから立ち直ることができないような内戦にシリアを陥れる恐れがある」と述べた。

 シリアでは5月25~26日に中部ホウラ(Houla)近くで、子ども49人、女性34人を含む108人が殺害された。この事態を受け、英米仏およびオーストラリアなどは、各国に駐在するシリアの大使や外交官を国外退去させると発表した。

 シリアの反体制派は、同国政府が6月1日正午(日本時間同日午後6時)までにアナン氏による調停案に従わない場合、新たな行動に踏み切る姿勢を示している。

 ホウラで起きた虐殺に国際社会の批判が高まる中、米国は、シリア問題で国連が行動を取ることに慎重な姿勢を取っているロシアを非難している。ヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)米国務長官は訪問中のデンマーク・コペンハーゲン(Copenhagen)で行った講演で、国連安全保障理事会(UN Security Council)がシリア政府に対する行動を取ることにロシアが抵抗していることについて、シリアの内戦突入につながりかねないと警告した。(c)AFP

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