【4月15日 AFP】アフガニスタンと国境を接するパキスタン北西辺境州のバンヌ(Bannu)地区郊外で15日、刑務所が武装した反政府勢力に襲撃され、収容されていたイスラム武装勢力の戦闘員らを含む384人前後が脱獄した。パキスタン当局が発表した。

 治安当局高官によると現地時間15日午前1時(日本時間同午前5時)ごろ、150人を超える武装グループがバンヌ郊外にある中央刑務所を襲撃した。グループは車や小型トラックで乗り付け、銃や手りゅう弾で攻撃しながら刑務所へ侵入した。襲撃は2時間ほど続いた。

 この高官はAFPの取材に対し「この襲撃の間に、強硬派の戦闘員を含む384人ほどが脱獄した。情報によれば、14日夜の時点での収容者数は944人ほどだったとみられる」と語った。脱獄者の中には、ペルベズ・ムシャラフ(Pervez Musharraf)元大統領を襲撃した元空軍士官の死刑囚も含まれているという。

 同日、イスラム武装勢力「パキスタンのタリバン運動(Tehreek-e-Taliban PakistanTTP)」のエフサヌッラー・エーサン(Ehsanullah Ehsan)報道官はAFPの取材に犯行を認めた。同担当は「バンヌの刑務所を襲撃し、我々の特別なメンバーを解放した。数日中に我々全員が各地に集合した時点で詳細を発表する。現時点では正確な数は語れない」と述べた。

 パキスタン北西辺境州は、アフガニスタンの旧支配勢力タリバン(Taliban)や国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)の活動が活発で、治安情勢が不安定な地域。また襲撃された刑務所には最近、元反政府勢力メンバーの社会更生用の収容施設に改変された近くのコホート(Kohat)とラッキマルワト(Lakki Marwat)の刑務所から、多数の受刑者たちが移送されて来たばかりだった。 (c)AFP/Lehaz Ali