【3月18日 AFP】アフガニスタン南部のカンダハル(Kandahar)州で民家を襲撃し、16人を射殺したとされる米兵の身元は、ロバート・ベールズ(Robert Bales)陸軍2等軍曹(38)であることがわかった。米政府関係者が匿名を条件に、メディアが報道している米兵の身元が「正しい」ことを認めた。
 
 イラクに3回派遣されたベールズ軍曹は戦闘経験も豊富で、数々の勲章を授与されていた。アフガニスタンでの任務は初めてだったが、報道によると長期にわたるイラク駐留の後にアフガニスタンに派兵されたことに不満を抱いていたという。

 同軍曹は11日未明、基地を抜け出し侵入した民家で銃を乱射し、女性や子どもを含む16人を殺害したとされている。この事件を受け、米国とアフガニスタンの関係は2001年に米主導で国際部隊がアフガニスタン入りして以来、最悪の状態に陥った。

 国防総省のウェブサイトの2009年のページをはじめ、ベールズ軍曹の写真や記事を含むページは16日の報道開始前に削除されていた。

 だがネット上に残されていた米陸軍の2009年2月付けの公式サイトのキャッシュのページによると、同軍曹は2007年1月、イラク南部のイスラム教シーア派系の集団「天国の兵士(Soldiers of Heaven)」を掃討する極めて凄惨(せいさん)な戦闘現場を経験していた。

 米軍の記載によると、15時間にわたる戦闘で敵側の兵士250人が殺害されたという。この戦闘に参加したベールズ軍曹は、所属部隊が「悪者と民間人を区別し、3~4時間前には我々を殺そうとしていた人々を最後は助けていた」ことに誇りを感じたとしている。

 同軍曹は「自分の家族をあんな危険に追い込む悪者と、米国人との真の違いはここにあると思う」と述べていた。

 銃を乱射する前夜、ベールズ軍曹は軍の規定で禁止されている飲酒をしていたとみられる。米政府関係者は匿名を条件に「捜査関係者は、飲酒は今回の悲劇の原因の1つと見ている」ことを明らかにした。

 米紙ニューヨークタイムズ(New York Times)は15日、別の政府関係者によると、飲酒に加え、2児の父親である同軍曹は家庭問題など様々なストレスで「ぷっつりと切れた」可能性もあると報じている。(c)AFP/Carlos Hamann

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