シリア政府軍、中西部ラスタンを砲撃 赤十字はババアムル地区に入れず
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【3月5日 AFP】人権団体「シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)」は4日、同日シリア政府軍が反対政府派の拠点になっている中西部ラスタン(Rastan)を砲撃し、民家に砲弾が当たって7人が死亡したと発表した。
シリア人権監視団によると、この日シリア全土ではラスタンの死者も含めて19人が死亡した。シリア国内での外国メディアの取材が制限されているため、AFPはシリア人権監視団の発表を独自に確認できていない。
シリアの反体制派は2月5日、ラスタンを政府軍から「解放した」と発表していたが、今月1日にホムス(Homs)を制圧した政府軍はホムスに近いラスタンとクサイル(Qusayr)に猛攻を加えていた。レバノンに逃れたシリア避難民の報道担当者は、4日にクサイルから35人のシリア人がレバノン北部に逃れたと述べた。
反体制勢力は1日、約1か月にわたって政府軍が猛烈な砲撃を加えてきたホムスのババアムル(Baba Amr)地区から「戦略的に」撤退したと発表していた。
米国に拠点を置く国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(Human Rights Watch、HRW)はこの間に約700人が死亡したとの見方を示している。同団体は、ババアムルでは1時間に100発の砲弾が撃ち込まれた時間帯もあったと指摘し、衛星写真から640の建物が損傷を受けたとみられるが、実際の状況はもっと悪い恐れもあるとしている。
■赤十字、いまだババアムル地区に入れず
赤十字国際委員会(International Committee of the Red Cross、ICRC)のサレ・ダバケ(Saleh Dabbakeh)広報は、ICRCはババアムル地区から約3キロ離れたアベル(Abel)村に逃げてきた避難民たちに食料と毛布を届けたが、シリア当局は依然としてICRCにババアムル地区への立ち入りを許可していないと述べた。
援助物資を積んだトラック7台が2日からババアムル地区に入るため待機していたが、当局は爆弾や地雷が残っていて危険だとして、ICRCが同地区に立ち入ることを認めていない。
赤十字の支援が遅れたことは国際社会の怒りを招き、サウジアラビアのサウド・ファイサル(Prince Saud al-Faisal)外相は4日、ロシアや中国などシリアの友好国は、流血の事態を終わらせるようシリア政府に助言すべきだと述べた。
シリアと国境を接するイスラエルは、赤十字を通じてシリアの民間人向けの支援物資を提供した。同じくシリアの隣国であるヨルダンは外交的な解決を希望するとの姿勢を示した。中国もシリアにおける流血の事態の終結を求めているが、シリア情勢への外国の介入には反対する姿勢を取っている。(c)AFP