【2月10日 AFP】レバノン軍は9日夜、シリア政府軍が同国の反体制派を攻撃しているホムス(Homs)に近いレバノン北部ワディ・ハレド(Wadi Khaled)地方に配備する部隊を増強した。

 シリアと国境を接するムカイブレ(Muqaybleh)村の関係者によると、レバノン軍の1部隊が同地の基地に展開し、周辺の村や町の巡回警備を開始した。複数の住民によると、軍はワディ・ハレドへの入り口地点の検問所で、車両点検や通行人の身元確認を行っている。AFPではレバノン軍の報道官に取材を試みたが、直ちには連絡がとれなかった。

 シリア軍は数か月前から、越境行為による武器などの密輸や、反体制派がレバノン側に逃げ込むことを防ぐため、ワディ・ハレド地方との境界周辺に地雷を敷設している。9日には、越境してレバノン側へ入ろうとしたシリア人男性(26)が地雷を踏んで片脚を失う重傷を負い、レバノン北部アッカール(Akkar)の病院で治療を受けている。

 シリアでは約1年前にアサド政権に対する前例のない反体制運動が起き、以降これまでに約6400人のシリア人が、主にワディ・ハレド地区を中心にレバノン側へ逃れている。

 人権団体などによると、反体制運動に対するシリア政府の激しい弾圧で、これまでに6000人以上が死亡したとされる。反体制派の拠点となっているホムスでは、政府軍の絶え間ない攻撃が続いており、この6日間で少なくとも400人が死亡した。(c)AFP