【2月5日 AFP】エジプト首都カイロ(Cairo)で5日、同国北部ポートサイド(Port Said)でサッカーの試合後に起きた暴動を軍政が阻止しなかったとして発生した抗議デモと機動隊の衝突は、4日目に突入した。

 機動隊数百人が内務省本部に向かう道路を封鎖し、投石するデモ隊の接近を防ぐために催涙弾を発砲した。機動隊は、衝突の中心地となったマンスール(Mansur)通りにコンクリートブロックの壁を設置し、別の道路では有刺鉄線を張っている。

 保健省は4日、2日の衝突発生以降、カイロとスエズ(Suez)で12人が死亡したと発表した。当局が対応しなかったとして問題となったサッカー競技場での衝突では74人が死亡した。

 3日には、軍部が政治権力の頂点に居座ることを正当化するため、意図的に混乱状況を作り出しているとの非難が起きる中、軍政司令官の即時退陣を求めるデモが全国規模で開かれた。

 サッカー競技場での死者の多くは、カイロのプロサッカーチーム「アル・アハリ(Al-Ahly)」のサポーターグループ「ウルトラス(Ultras)」のメンバーとみられている。カイロのアル・アハリに3-1で勝利したポートサイドの地元チーム「アル・マスリ(Al-Masri)」の一部サポーターが、ウルトラスのメンバーを襲撃したとみられる。

 ウルトラスはホスニ・ムバラク(Hosni Mubarak)前大統領を退陣に追い込んだ前年の民衆蜂起で大きな役割を果たしたグループ。そのため、コメンテーターらは、ムバラク支持派の部隊が暴動の背後にいるかまたは加担したとの憶測を煽りかねないコメントを発した。

 軍政は、6月末に大統領が選出された後、民政に権力を移譲することを約束している。だが軍政の反対派は、軍政が民政移行後も舞台裏で権力を掌握し続けるつもりだと考えている。(c)AFP

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