【1月6日 AFP】(一部更新)政治の混迷から宗派対立が激化しているイラクで5日、バグダッド(Baghdad)を中心にイスラム教シーア派を狙った爆弾攻撃が相次ぎ、68人が死亡、100人以上が負傷した。8月の国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)による爆弾攻撃以来、最悪の被害となった。

 バグダッドでは、北部のシーア派地区サドルシティー(Sadr City)で午前7時(日本時間午後1時)ごろ、日雇いの仕事を待っていた人たちの近くでオートバイに仕掛けられた爆弾が爆発。その後間もなく、負傷者らが搬送されたサドルシティー内の病院付近の道路脇2か所でも爆発が起きた。さらに、市内北部のカダミヤ(Kadhimiyah)地区でも午前9時(日本時間午後3時)ごろ、交差点付近に止まっていた車両2台が爆発。一連の爆弾攻撃で少なくとも23人が死亡した。

 一方、同国南部ナシリヤ(Nasiriyah)でも、聖地カルバラ(Karbala)に向かうシーア派の巡礼者を狙った自爆攻撃があり、同日の爆弾攻撃では最も多い45人が死亡した。

 シーア派を狙った今回の攻撃に対して、スンニ派のウサマ・ナジャフィ(Osama al-Nujaifi)連邦議会議長は直ちに非難声明を発表。シーア派のヌーリ・マリキ(Nuri al-Maliki)首相とバグダッドで対応を協議した。

 バグダッドでは前月22日にも60人が死亡する連続爆弾攻撃が起きている。

■マリキ首相が軟化姿勢

 イラクでは米駐留軍の完全撤退後の前年末、暗殺部隊を運用していたとしてタリク・ハシミ(Tareq al-Hashemi)副大統領に逮捕状が発行されたことを機に、政権内の宗派対立が再燃。ハシミ氏の所属するスンニ派世俗派政党連合「イラキーヤ(Iraqiya、イラク国民運動)」は、逮捕状発行に反発して閣議をボイコットしている。

 状況を危惧する米国や国連(UN)は、イラクの政治指導者らに宗派対立の解消に向け協議するよう求めているが、いまだ開かれていない。一方で、マリキ首相は4日、イラキーヤ所属閣僚の解任も辞さないとするこれまでの姿勢を撤回し、軟化姿勢を示した。(c)AFP/Salam Faraj and Ammar Karim