【10月22日 AFP】リビアの最高指導者だったムアマル・カダフィ(Moamer Kadhafi)氏を殺したのは自分だと主張する反カダフィ派の若い戦闘員の動画が21日、インターネットに投稿された。

 この戦闘員はベンガジ(Benghazi)から来たというサナド・サデク・ウレイビ(Sanad al-Sadek al-Ureibi)という名前だという男性で、1989年生まれだという。カダフィ氏を2度撃って重傷を負わせ、カダフィ氏はその傷がもとで死亡したと主張している。

 この動画の中でウレイビと名乗る男性は、多くの男たちからたたえられ、質問を受けていた。男たちの中には軍服姿の人もいた。

 動画に写っていた人物たちはカメラにカダフィ氏のものだというゴールドの指輪や血のついた上着を見せた。指輪にはカダフィ氏の2人目の妻、サフィア(Safia)さんの名前と、2人の結婚記念日である1970年9月10日の日付が刻印されていた。

■街路で出くわし、平手打ち

 ウレイビ氏は、自分はベンガジで部隊から離れ、国民評議会(National Transitional CouncilNTC)側がカダフィ氏の故郷シルト(Sirte)に攻勢をかけたときにミスラタ(Misrata)で別の部隊に合流したと説明した。

「俺たちは街路でカダフィに出くわした。彼は数人の子どもや若い女性たちと一緒に歩いていた。帽子をかぶっていたが、髪型からカダフィだと分かった。ミスタラから来た戦闘員が俺に『あいつはカダフィだ。奴を仕留めよう』と言った」

 そこでウレイビ氏は、金色のピストルを持っていたカダフィ氏の腕をつかんでカダフィ氏を取り押さえたという。「俺が彼を平手打ちすると、彼は『お前はわしの息子のようなものだ』と言った。もう一度平手打ちすると彼は『わしはお前の父親のようなものだ』と言った。そこで俺は彼の髪をつかんで彼を地面に押し付けた」

■脇の下と頭に2発、30分後に死亡

 ウレイビ氏はカダフィ氏をベンガジに連れて行きたかったが、ミスラタの戦闘員たちがミスタラへの連行を主張したためカダフィ氏殺害を決心し、2度発砲したという。「俺は彼を2度撃った。1発は脇の下に、もう1発は頭に当たった。彼はすぐには死ななかった。死ぬまでに30分くらいかかった」。カダフィ氏が持っていたピストルはミスラタの戦闘員たちが押収したという。

 この動画で語られた状況は、カダフィ氏は捕らえられた直後に国民評議会側とカダフィ派の十字砲火に巻き込まれ、頭に銃弾を受けたとしていたリビアの国民評議会の発表と食い違っており、カダフィ氏が死亡した状況をめぐっては依然として臆測が飛び交っている。(c)AFP