カダフィ大佐、最後は下水管の中 死亡状況めぐり証言交錯
このニュースをシェア
【10月21日 AFP】かつて「アフリカの王たちの王」とも称されたリビアの元最高指導者ムアマル・カダフィ(Moamer Kadhafi)大佐は、8か月にわたる抵抗の末、出身地のシルト(Sirte)の下水管の中に隠れているところを拘束され、その後死亡した。
■兵士が撃った?銃撃戦に巻き込まれた?
カダフィ大佐の死亡経緯について、反カダフィ勢力「国民評議会(National Transitional Council、NTC)」の現地司令官ムハンマド・リース(Mohammed Leith)氏は、次のように証言している。「カダフィが乗っていたジープを銃撃すると、彼は下水管に逃げ込んだ。兵士がさらに銃撃すると、彼は片手にカラシニコフ(Kalashnikov)銃、もう一方の手に拳銃を持って下水管から出てきて、左右を見回し、何が起きているんだと尋ねた。兵士がカダフィの脚と肩を撃ち、その後、彼は死亡した」
しかし、NTCのマハムード・ジブリル(Mahmud Jibril)暫定首相はトリポリ(Tripoli)で開いた記者会見で、カダフィ大佐は拘束された後、NTC部隊と大佐支持派との銃撃戦に巻き込まれ、頭部を撃たれて死亡したと説明した。「発見されたとき、彼(カダフィ大佐)は健康状態も良く、銃を持っていた。下水管からトラックに移送する段階で右手を撃たれた。トラックが動き出した直後、カダフィ派とNTC部隊との銃撃戦が始まり、彼は頭を撃たれた」
ジブリル氏によると、カダフィ大佐はミスラタ(Misrata)の病院に搬送される直前まで生存していたという。
■拘束時生存の映像、仏軍がまず空爆
シルトでは、カダフィ大佐を拘束したうちの1人だと主張する若い兵士が、大佐のものだという黄金の銃を自慢げに披露していた。この兵士は、NTC部隊がカダフィ大佐を下水管に追い込んだと証言。「俺のシャツにはカダフィの血がついている。このシャツは絶対に洗わない」と誇らしげに語った。
中東の衛星テレビ、アルアラビーヤ(Al-Arabiya)やアルジャジーラ(Al-Jazeera)は、負傷しているが生きているカダフィ大佐がNTC兵士らに手荒く扱われている映像を放映している。映像の中では1人の兵士がカダフィ大佐の頭に銃を向けているが、撃ったかどうかは車のエンジン音や騒ぐ声にまぎれて確認できない。
一方、ジェラール・ロンゲ(Gerard Longuet)仏国防相は記者団に対し、シルトを脱出しようとしていたカダフィ大佐の車両80台あまりを止めるため、仏軍の戦闘機が威嚇射撃を行ったことを明らかにした。だが、大佐の車列そのものに被害はなかったとロンゲ国防相は指摘。続いてNTC部隊が車列を攻撃して破壊、カダフィ大佐を拘束したと説明している。
また、ある米国防総省高官は匿名を条件に、米軍の無人攻撃機が仏戦闘機とともに車列を攻撃したと認めた。ただ、その車列の中にカダフィ大佐がいたかどうかは確認できなかったと話している。(c)AFP
【図解】カダフィ大佐の略歴
【関連記事】どうなる「カダフィ後」のリビア、国民国家と部族の間で揺れる未来