【9月13日 AFP】国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)は、9.11米同時多発テロから10年を迎えたことに合わせ、殺害されたウサマ・ビンラディン(Osama Bin Laden)元最高指導者が米国民に向けて語ったメッセージなどを含むビデオを公開した。米民間情報機関サイト・インテリジェンス・グループ(SITE Intelligence Group)が13日、発表した。

 SITEによると、ビデオ「迫り来る勝利の夜明け(The Dawn of Imminent Victory)」は長さ62分。アルカイダ新指導者のアイマン・ザワヒリ(Ayman al-Zawahiri)容疑者が中東・北アフリカの民主化運動「アラブの春(Arab Spring)」を称賛する演説も含まれていた。

 SITEによれば、ビンラディン容疑者の動画は、5月の米軍によるパキスタンの潜伏先襲撃の際に発見された素材と同じものとみられる。この動画は、米政府がすでに音声抜きで公開している。

 米海軍特殊部隊(Navy SEALs)に殺害されたビンラディン容疑者は米国人に、大企業と「ユダヤ資本」に管理された「奴隷」にならないようにと警告した。

 またビンラディン容疑者は米国人に、米国の軍事的な意思決定をめぐる駆け引きを描いたボブ・ウッドワード(Bob Woodward)氏の『オバマの戦争(Obama's War)』を読むよう勧め、バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領の選挙運動のスローガン「Yes, we can」は真実ではないと語った。

 一方、いま米政府の最重要指名手配犯であるザワヒリ容疑者は、長い演説の中で、アラブ世界でこの1年間に起きた革命や、ビンラディン容疑者の死について語った。

 SITEは「メディアで報じられているのとは違ってアルカイダは革命を支援しており、真のイスラムとイスラム法(sharia)に基づいた統治が打ち立てられることを望んでいると、ザワヒリ容疑者は宣言した」と述べ、「ザワヒリ容疑者は、9.11攻撃とアフガニスタンとイラクでの失敗が米国の敗北であるのと同じく、(アラブの)民衆革命も米国にとって1つの敗北だと断言した」と説明している。(c)AFP