【9月2日 AFP】内部告発サイト「ウィキリークス(WikiLeaks)」が前週、公開した米外交公電から、2006年にイラク駐留米軍が女性や子どもを含むイラク民間人10人を即決処刑していた事実を、国連(UN)の特別報告者が米政府に知らせていたことが明らかになった。

 国連人権理事会のフィリップ・アルストン(Philip Alston)特別報告者(超法規的・即決・恣意的な殺害問題担当)が、米政府に宛てた2006年4月付けの公電の大まかな内容は以下のとおり。

 2006年3月15日の早朝、米軍部隊がバグダッド(Baghdad)の北に位置するバラド(Balad)の民家に近づくと、この家から銃が撃たれたように見えた。このため兵士たちはこの家に入り、中にいた10人全員に手錠をかけてその場で射殺した。

 10人には、女性4人と、生後5か月の乳児を含む子ども5人が含まれていた。ティクリート(Tikrit)の病院で10人の遺体を検視したところ、全員、頭部を撃たれていた。

 米兵が民家を襲った後、多国籍軍は空爆を実施してこの民家を破壊した。この空爆でも死者が出たが、その人数は未確認だという。

 アルストン氏によると、この家の住民が同年3月6日から11日にかけて多国籍軍兵士2人が殺害された事件に関与しているとの情報があったため、国際テロ組織「アルカイダ(Al-Qaeda)」に通じる外国人武装勢力をまとめる人物の身柄を確保する目的で、米兵がこの民家を攻撃したのだという。

 さらにアルストン氏は公電のなかで、この事件前の5か月間にも、多国籍軍が過剰に武力を行使したことで犠牲者が相当数出ていると指摘した。(c)AFP/W.G. Dunlop