【5月25日AFP】アリ・アブドラ・サレハ(Ali Abdullah Saleh)大統領の辞任を求める大規模なデモが続くイエメンの首都サヌア(Sanaa)で24日、政府の治安部隊と同国の最大部族ハシド(Hashid)の勢力が衝突、38人が死亡した。

 衝突は、反体制派に転じた部族ハシドの長、サーディク・アフマル(Sadiq al-Ahmar)師の住居があるサヌア北部のハサバ(Al-Hasaba)地区周辺と、ハシドが占拠している内務省や通産省など複数の政府庁舎で発生した。

 サーディク師の住居にはハシドのほか、ハシドと連合している同じく有力な部族バキル(Bakil)の指導者たちも集まっていた。周辺住民らによると、衝突は23日から始まり、機関銃やロケット弾などによる戦闘の音は25日未明まで聞こえていた。

 死亡した38人のうち24人は反体制側で、指導的立場にある人物3人が含まれていたという。

 イエメン最大の部族ハシドは、33年間にわたるサレハ政権を支持してきた一大勢力だったが、3月に反体制側への転向を宣言。サーディク師は、サレハ大統領が権力の座にとどまろうとして「内戦」を引き起こそうとしていると批判していた。

 23日の政府側と反体制側の衝突で6人の死者が出た後、部族の指導者たちの多くは事態の平和的解決を強く望んでいるが、これまでのところ停戦の働き掛けは成功していない。

 サレハ大統領は22日、30日以内の辞任と、本人および側近たちの訴追の免除を柱とする湾岸協力会議(Gulf Cooperation CouncilGCC)の仲介案への署名を拒否していた。(c)AFP/Hammoud Mounassar