【5月12日 AFP】2日にパキスタンでの急襲作戦で米軍特殊部隊が殺害した国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)の最高指導者、ウサマ・ビンラディン(Osama bin Laden)容疑者について、「正視に耐えない」との理由からこれまで非公開とされていた遺体の写真が、米中央情報局(CIA)によって一部の議員へ公開され始めた。

 15枚の遺体の写真を見た米上院軍事委員会のジェームズ・インホフ(James Inhofe)委員(共和党、オクラホマ(Oklahoma)州選出)は、米CNNテレビのインタビューに対し、写真は殺害直後にビンラディン容疑者の潜伏先で撮影されたものだったと述べた。

 同議員によると、バラク・オバマ(Barack Obama)大統領が言うように「かなりむごい写真」で、「銃弾の1発は耳から入り、眼窩から抜けていた。あるいは眼窩から入って抜け、炸裂したのかもしれない。いずれにせよ眼窩から脳が垂れ下がるようにはみ出ていて、非常にむごたらしかった」と言う。

 また15枚のうち3枚は、遺体を潜伏先からアラビア海洋上に待機していた米空母カールビンソン(USS Carl Vinson)へ移動してから撮影されたもので、洗浄される遺体や、イスラム式の葬儀のために準備される遺体が写っていた。

「顔に付着していた血液なども十分ふき取られ」、間違えようもないほど「誰かを確認するのは容易」な写真だったと言う。インホフ議員は「まったく疑問はない。私が見た写真は彼だ。彼はこの世から消えた、もはやいないのだ」と語った。

 葬儀は水葬で、遺体は海で水葬にされたという。

 ホワイトハウス(White House)は、遺体の写真を一般公開しないことを決定した理由について、公開することによって中東の民衆感情を煽る恐れがあることや、反米プロパガンダに写真が利用されることへの懸念を挙げている。

 しかし、当初から写真を公開すべきだと主張していたインホフ議員は、実際に写真を見た後でも、空母上で撮影された写真は公開すべきだと思うと述べた。

 写真は今後、議会の主要委員会の委員たちに公開される予定だが、ジョン・マケイン(John McCain)上院議員(共和党)は、自分は見るつもりはないと述べ、「人生の中で、人の死体は十分すぎるほど見てきた」と報道陣に語った。(c)AFP