【5月5日 AFP】リビア政府軍の包囲が続く西部ミスラタ(Misrata)で4日、避難民が集まっていた港が政府軍の砲撃を受け、国際移住機関(International Organization for MigrationIOM)が派遣したチャーターフェリーが緊急出港を余儀なくされた。反政府勢力によると、港にいた少なくとも5人が死亡したという。

 IOMは声明で、砲撃のため約800人が乗船した時点で急きょタラップをあげて出港せざるを得なくなり、数百人の民間人が港に取り残されたと発表した。避難のため港に集まっていた人々の中には外国人労働者や負傷した民間人のほか、女性や子どももいたという。

 IOMによると、レッドスター(Red Star)号は支援物資180トンを載せて同日朝にミスラタ港に到着。外国人労働者や負傷者1000人余りを避難させる予定だったが、港の近くで戦闘があったため人々が乗船できず、1時間だけしか接岸できなかった。船は外国人労働者約800人、負傷した民間人50人、記者20人、医師らを乗せてあわただしく港を離れ、ベンガジ(Benghazi)に向かっている。

 当時、現地スタッフと衛星電話で連絡を取り合っていたスイス・ジュネーブ(Geneva)のIOMスタッフによると、電話越しにもはっきりと「激しい砲撃」と銃声が聞こえたという。

■国際刑事裁、人道犯罪で政権側の逮捕状請求へ

 一方、国際刑事裁判所(International Criminal CourtICC)のルイス・モレノオカンポ(Luis Moreno-Ocampo)主任検察官は4日、国連安全保障理事会(UN Security Council)で、ムアマル・カダフィ(Moamer Kadhafi)政権による人道犯罪で3人の逮捕状を請求する方針を明らかにした。

 動画や写真、目撃証言などの証拠がそろったという。3人の氏名は数週間以内に明らかにするとしているが、カダフィ大佐が含まれていることはほぼ間違いないとみられる。

 モレノオカンポ氏は、「殺人や虐待など、人道に対する罪に相当する広範囲で組織的な市民への攻撃は現在も続いている」と指摘。また、ベンガジでカダフィ大佐の雇い兵とみられる集団に黒人数十人が殺害された事件についてもICCが捜査中で、市民に対するクラスター爆弾の使用などの戦争犯罪についても捜査対象となる可能性はあると述べた。

 国連安保理は2月、ICCに人道犯罪などの捜査を求める決議を全会一致で採択していた。(c)AFP