【5月4日 AFP】パキスタン政府は3日、米国がパキスタンの首都イスラマバード(Islamabad)近郊で国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)の最高指導者ウサマ・ビンラディン(Osama Bin Laden)容疑者を急襲する作戦を実行したことについて、米国から事前通告が一切なかったことを明らかにし、ある国が単独で当該国の承認を受けずに軍事行動を行うと、協力関係を損なうだけでなく国際平和への脅威にもなりうるとして不快感を示した。

 同国政府としてはあまり例のない詳細な声明の中で、パキスタン政府はこれまで米国の対テロ政策に協力してきたことを強調した一方、今回の作戦で米軍のヘリコプターがパキスタンの基地から離陸したことに疑いの余地はないと発表した。

 地元メディアが米軍はパキスタンのレーダーを妨害したと報じたことを受けパキスタン政府は、米軍ヘリは最新技術と超低空飛行によってパキスタン軍レーダーの「死角」をついて現場に向かい、領空内で行動しているヘリコプターを察知したパキスタン政府はただちに戦闘機を緊急発進させたことも明らかにした。

 ビンラディン容疑者が潜伏していたアボタバード(Abbottabad)の邸宅が、近隣の家と比べて際立って厳重に警備されていたことにパキスタン当局が疑問を抱かなかったのは不自然だとの指摘が、米政府関係者から出ていることについては、邸宅を囲っていた高い外壁はこの地域の「プライバシーと安全を尊重する文化」を考えると不思議ではなく、米軍によるアフガニスタンの旧支配勢力タリバン(Taliban)の掃討作戦が続く北西部から逃れてきた住民の家にも同様の囲いがあると説明した。(c)AFP