歓迎と反発、新たな脅威への警戒―ビンラディン容疑者殺害 世界の反応
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【5月3日 AFP】バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領が1日、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)の最高指導者ウサマ・ビンラディン(Osama Bin Laden)容疑者を米軍の特殊部隊が殺害したと発表したことに2日、世界各地からの反応が相次いだ。
パキスタンのアシフ・アリ・ザルダリ(Asif Ali Zardari)大統領は首都イスラマバード(Islamabad)でユサフ・ラザ・ギラニ(Yousuf Raza Gilani)首相および治安責任者らと緊急会議を開いた。ギラニ首相は会見で「偉大な勝利」だと述べた。
一方、長年パキスタンと対立しているインドは、10年近くにわたって追われていたビンラディン容疑者がパキスタンの首都イスラマバードから北に車でわずか2時間ほどの都市、アボタバード(Abbottabad)の邸宅にいたという事実から、パキスタンがビンラディン容疑者をかくまっていたのではないかとの疑いを一層強めている。
アフガニスタンのハミド・カルザイ(Hamid Karzai)大統領は、同国の旧支配勢力タリバン(Taliban)に対し、ビンラディン容疑者が「自らの行為の代償を払った」ことに留意して米国の支援を受けているアフガニスタンの現政権との戦いを止めるよう呼びかけるとともに、「テロとの戦いは、テロの源、テロの資金源、テロの聖域、テロの訓練基地にあり、それらはアフガニスタン国内にはない」と述べ、インドと同様にパキスタンを批判した。
国連(UN)の潘基文(パン・キムン、Ban Ki-moon)事務総長は国連本部で記者団に対し、「米国そして世界各地のテロ犠牲者にあらためて思いを寄せる日になった」と述べ、急進的かつ暴力的な過激主義の根絶を目指す世界的な戦いは「分岐点となる瞬間」を迎えたと述べた。
ロシア政府はビンラディン容疑者の殺害を米国のみならずロシアにとっても「重要な成功」だと評価するとともに、テロ対策で米国との協力を強化していきたいとの意向を示した。イスラエル、イエメン、そしてビンラディン容疑者の出身国のサウジアラビアもビンラディン容疑者の殺害を歓迎した。
ケニアのムワイ・キバキ(Mwai Kibaki)大統領は、1998年8月にケニアとタンザニアで米大使館が爆破され224人が死亡した事件の犠牲者にとって「正義の行為」だと述べた。
■警戒継続の必要性を指摘する見方も
一方で、パレスチナ自治区のガザ地区(Gaza Strip)を実効支配するイスラム原理主義組織ハマス(Hamas)は、ビンラディン容疑者の殺害を批判し、ビンラディン容疑者を支持する武装勢力もウェブサイトで復讐を誓った。
ヨルダンではムスリム同胞団(Muslim Brotherhood)が、国際社会がイスラム教やパレスチナ問題、中東各国の腐敗した政権に対する態度を変えない限り、新たなアルカイダが登場するだろうと警告した。
英国のデービッド・キャメロン(David Cameron)首相は「世界最悪のテロによる残虐行為」の犠牲者に一応の安堵をもたらすだろうと述べたが、ウィリアム・ヘイグ(William Hague)英外相は、アルカイダは「まだ活動を続けている」と注意を促した。
フランスのニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)大統領は、オバマ大統領との電話会談でビンラディン容疑者を追い詰めた米国の断固たる対応を称賛したが、「テロリストの蛮行と、その支援者らに対する当然行うべき戦いは継続しなければならない」と述べた。これに先だって発表した声明でサルコジ大統領は、ビンラディン容疑者の死はアルカイダの終わりではないと指摘していた。
ドイツのアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相は、「平和の部隊」の勝利は「テロリストの敗北」を意味しないと述べ、引き続き警戒が必要だとの考えを示した。2004年に4本の列車に爆弾がしかけられ191人が死亡したスペインも、ビンラディン容疑者殺害を歓迎しつつ、警戒を緩めることには警告を発した。
欧州連合(EU)のキャサリン・アシュトン(Catherine Ashton)外交安全保障担当上級代表も、ビンラディン容疑者殺害に対する報復の恐れは深刻で、アルカイダネットワークの完全な無力化のための努力は引き続き必要だと述べた。(c)AFP
パキスタンのアシフ・アリ・ザルダリ(Asif Ali Zardari)大統領は首都イスラマバード(Islamabad)でユサフ・ラザ・ギラニ(Yousuf Raza Gilani)首相および治安責任者らと緊急会議を開いた。ギラニ首相は会見で「偉大な勝利」だと述べた。
一方、長年パキスタンと対立しているインドは、10年近くにわたって追われていたビンラディン容疑者がパキスタンの首都イスラマバードから北に車でわずか2時間ほどの都市、アボタバード(Abbottabad)の邸宅にいたという事実から、パキスタンがビンラディン容疑者をかくまっていたのではないかとの疑いを一層強めている。
アフガニスタンのハミド・カルザイ(Hamid Karzai)大統領は、同国の旧支配勢力タリバン(Taliban)に対し、ビンラディン容疑者が「自らの行為の代償を払った」ことに留意して米国の支援を受けているアフガニスタンの現政権との戦いを止めるよう呼びかけるとともに、「テロとの戦いは、テロの源、テロの資金源、テロの聖域、テロの訓練基地にあり、それらはアフガニスタン国内にはない」と述べ、インドと同様にパキスタンを批判した。
国連(UN)の潘基文(パン・キムン、Ban Ki-moon)事務総長は国連本部で記者団に対し、「米国そして世界各地のテロ犠牲者にあらためて思いを寄せる日になった」と述べ、急進的かつ暴力的な過激主義の根絶を目指す世界的な戦いは「分岐点となる瞬間」を迎えたと述べた。
ロシア政府はビンラディン容疑者の殺害を米国のみならずロシアにとっても「重要な成功」だと評価するとともに、テロ対策で米国との協力を強化していきたいとの意向を示した。イスラエル、イエメン、そしてビンラディン容疑者の出身国のサウジアラビアもビンラディン容疑者の殺害を歓迎した。
ケニアのムワイ・キバキ(Mwai Kibaki)大統領は、1998年8月にケニアとタンザニアで米大使館が爆破され224人が死亡した事件の犠牲者にとって「正義の行為」だと述べた。
■警戒継続の必要性を指摘する見方も
一方で、パレスチナ自治区のガザ地区(Gaza Strip)を実効支配するイスラム原理主義組織ハマス(Hamas)は、ビンラディン容疑者の殺害を批判し、ビンラディン容疑者を支持する武装勢力もウェブサイトで復讐を誓った。
ヨルダンではムスリム同胞団(Muslim Brotherhood)が、国際社会がイスラム教やパレスチナ問題、中東各国の腐敗した政権に対する態度を変えない限り、新たなアルカイダが登場するだろうと警告した。
英国のデービッド・キャメロン(David Cameron)首相は「世界最悪のテロによる残虐行為」の犠牲者に一応の安堵をもたらすだろうと述べたが、ウィリアム・ヘイグ(William Hague)英外相は、アルカイダは「まだ活動を続けている」と注意を促した。
フランスのニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)大統領は、オバマ大統領との電話会談でビンラディン容疑者を追い詰めた米国の断固たる対応を称賛したが、「テロリストの蛮行と、その支援者らに対する当然行うべき戦いは継続しなければならない」と述べた。これに先だって発表した声明でサルコジ大統領は、ビンラディン容疑者の死はアルカイダの終わりではないと指摘していた。
ドイツのアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相は、「平和の部隊」の勝利は「テロリストの敗北」を意味しないと述べ、引き続き警戒が必要だとの考えを示した。2004年に4本の列車に爆弾がしかけられ191人が死亡したスペインも、ビンラディン容疑者殺害を歓迎しつつ、警戒を緩めることには警告を発した。
欧州連合(EU)のキャサリン・アシュトン(Catherine Ashton)外交安全保障担当上級代表も、ビンラディン容疑者殺害に対する報復の恐れは深刻で、アルカイダネットワークの完全な無力化のための努力は引き続き必要だと述べた。(c)AFP