【4月30日 AFP】シリアで29日、金曜礼拝のあと全土で「激怒の日」と題された大規模な民主化要求デモに数万人規模の人びとが参加し、治安部隊との衝突で少なくとも62人が死亡した。人権団体が明らかにした。この事態を受けて米政府と欧州連合(EU)はシリア政府への制裁に向けて動いている。

 ロンドン(London)を拠点とする「シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)」によると、民主化デモの中心地であるダルアー(Daraa)とその周辺では民間人33人が死亡した。また、ダマスカス(Damascus)の北にある都市ホムス(Homs)とその周辺では民間人27人が死亡、地中海沿岸のラタキア(Latakia)では2人が死亡した。

 一方、シリア当局者は、29日の暴動で「テロリスト集団」によって全土で合わせて治安部隊員9人が死亡したと述べている。民主化を求める反体制デモは、シリア全土で3月から毎週金曜日の礼拝のあと起きており、29日も礼拝後に全土でデモが起きた。

■米欧は制裁へ

 暴力の高まりを受けて米政府は、バッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領の弟で第4機甲師団長のマヒール・アサド(Maher al-Assad)氏ら、複数の政府高官や情報機関などの米国管轄下の資産を凍結する制裁に踏み切った。

 また、EUはベルギーのブリュッセル(Brussels)で大使級協議を開き、弾圧に用いられる可能性のある武器や設備の対シリア輸出を禁止する準備を進めている。(c)AFP