【4月25日 AFP】民主化要求デモが続いているシリアのダルアー(Daraa)に25日、数千人規模の軍兵士や戦車が入った。目撃者や活動家らによると、軍が住民に発砲し、多数の死者が出ている。人権活動家らによると25日には、首都ダマスカス(Damascus)近郊の複数の町でも治安部隊が住民を攻撃したという。

 ダルアーの目撃者によると、車が銃撃を受けて5人が死亡した。また、別の活動家はAFPの電話取材に対し、狙撃兵が屋根から狙っているために自宅を出られないと述べ、そのため死者数や負傷者数を確認できないと語った。

 屋上にいたという目撃者は「車が銃撃でハチの巣にされたのをこの目で見た」と語った。ダルアーの各地から激しい銃撃音が聞こえたという。「治安部隊は住居に入り込んでいる。外出禁止令が出ており、自宅を出た人は撃たれている。市民に水を与えないようにするため、屋上の水タンクまで撃っている」と、目撃者は語った。

 ダルアーの人権活動家はAFPの電話取材に対し、3000人強の軍部隊が25日未明、ダルアーに進軍したと述べた。ダルアーの中心部には戦車が配備され、屋上には狙撃兵が配置されたという。

 ダマスカスの15キロ北にあるドゥマ(Duma)でも大規模な攻撃が行われた。ある人権活動家はドゥーマからAFPの電話取材に応じ、「治安部隊がモスクを包囲し、無差別に発砲している。道路は封鎖され、街は外部から孤立している」と語り、24日以降、多数の人びとが拘束されたと付け加えた。

 人権活動家や目撃者によると、22日以降に各地で行われた弾圧で、135人以上が死亡し、多数が拘束されたという。

 シリアのバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領の体制への抗議デモは、ダルアーで3月中旬に始まり、首都ダマスカスを始めシリア各地に広がった。AFPが人権活動家や目撃者らの情報から独自に集計したところ、治安部隊による鎮圧でこれまでに少なくとも336人が死亡したとみられる。(c)AFP