【4月22日 AFP】パキスタンを訪問した米軍制服組トップのマイケル・マレン(Mike Mullen)統合参謀本部議長が20日、パキスタンの三軍統合情報部(ISI)はテロリストとつながっており、アフガニスタンの旧勢力タリバン(Taliban)との戦いにおける取り組みが不十分だと批判したことに対し、パキスタン軍は翌21日、これを強く否定する声明を発表した。

 パキスタン軍上層部との安全保障会談のために20日に同国入りしたマレン米軍統合参謀本部議長は、独立系放送局Geo TVのインタビューで、北西部アフガニスタン国境の部族地域に潜伏するタリバン勢力とISIについて、「ISIの全員がそうだというわけではないが、ISIはハッカニ・ネットワークと長年にわたって関係がある。これは事実だ」と批判した。

 ハッカニ・ネットワークとは、アフガニスタンの軍閥の長、シラジュディン・ハッカニ(Sirajuddin Haqqani)氏が率いる国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)系の組織で、パキスタン側の部族地域にある北ワジリスタン(North Waziristan)地区を拠点としている。アフガニスタン東部ホースト(Khost)州で米中央情報局(CIA)要員7人が死亡した2009年の米軍基地自爆攻撃などを実行したとされる。

 マレン議長の発言を受けてパキスタン軍は21日、アシュファク・キアニ(Ashfaq Kayani)陸軍参謀長は「パキスタンの取り組みが不十分で、パキスタン軍が透明さに欠けているとするネガティブなプロパガンダ」を断固として否定するという声明を発表した。またキアニ参謀長は「現在進めている作戦は、テロリズム打倒に向けたわが国の決意を証明するものだ」と述べたという。

 またキアニ参謀長は、テロリズムとの戦いの勝利の鍵となるのはパキスタン国民の支持だが、波紋を呼んでいる米軍の無人機による攻撃は、「テロリズムに対するわが国の努力だけでなく、我々の努力に対する世論の支持も損なっている」と批判した。(c)AFP