【4月11日 AFP】前週末、反体制デモと治安部隊の大規模な衝突が各地で起こったシリアで10日、地中海沿岸の都市バニアス(Banias)で行われたデモに対し、軍や治安部隊が数時間に及ぶ銃撃を仕掛け、少なくとも4人が死亡、17人が負傷した。

 シリア国営シリア・アラブ通信(SANA)によると、その後、軍の部隊がパトロール中に待ち伏せされ、将校2人と兵士7人の計9人が殺害、兵士数人が負傷した。

 バニアスで事件が起きたのは反体制デモの中心となっているラーマン・モスク(Al-Rahman Mosque)がある住宅地。ある大学教授がAFPに語ったところによると、軍と治安部隊がこの地区全体を完全に包囲し、数時間止めることなく銃撃を続けた。

 この教授は「バッシャール・アサド(Bashar al-Assad、大統領)がわたしたちに『敢然と自由を要求する者は死をもって罰する』というメッセージを送ってきたのだ」と述べた。

■抗議行動で死傷者相次ぐ

 シリア各地では3月15日から、大規模な政治改革を求めて、アサド政権に対する前例のない抗議行動が発生している。

 前週8日には、全土で反体制デモと治安部隊が衝突。同国の人権団体などによると、ダルアー(Daraa)の26人を含む計28人が死亡した。

 さらにダルアーでは9日にも、前日死亡した人びとを埋葬していた群衆に治安部隊が発砲し、2人が負傷した。人権団体などは10日、「基本的人権と自由を侵犯し続けるシリア当局の決意に懸念」を表明した。
 
 2000年に就任したバッシャール・アサド大統領は一連のデモ発生後一度しか演説を行っていないが、SANAによると10日、シリア訪問中のブルガリア外相に対し「シリアは全体的な改革の途上にある」と語ったと言う。(c)AFP