【4月12日 AFP】11日にスウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が発表した、世界各国の軍事費に関する最新報告によると、2001年から09年まで平均して前年比5.1%だった世界全体の軍事費の伸びは、2010年は1.3%と、経済危機の影響を受けて01年以来、最も少ない伸び率となった。

 額にすると、2010年の世界全体の軍事費は計1兆6300億ドル(約138兆円)だった。

■増加分の大半は米国の支出

 軍事費の伸びが目立って少なかったのは米国。しかし、それでも世界最大の軍事支出であることに変わりはなく、世界全体の軍事費の伸び分のほとんどすべては米国の支出だ。

 具体的な数字で見ると、SIPRIがこの報告の発表を開始した2001年以降、毎年平均7.4%だった米軍事費の伸びは2010年、わずか2.8%に落ち込んだ。しかし、伸び率が鈍ったとはいえ、金額で見れば米国の2010年の軍事費は6980億ドル(約59兆円)で、世界全体で昨年増えた軍事費206億ドル(約1兆7400億円)の大半を占める196億ドル(約1兆6600億円)はまさに米国の増加分となっている。

 SIPRI軍事費プロジェクトの責任者サム・ペルロフリーマン(Sam Perlo-Freeman)氏は「2010年の米国の軍事費は国内総生産(GDP)の4.8%を占め、中東を除けば、軍事費が最も大きな負担となっている国だ」と述べた。

 地域別で最も軍事費が増加したのは南米で、前年比5.8%増、計633億ドル(約5兆3600億円)に達した。
 
■欧州は前年比2.8%減

 一方、欧州は増大する財政赤字を縮小しようと、各国政府が軍事費削減に努め、前年比2.8%減となった。この傾向は特に経済的により脆弱な中欧、東欧、ギリシャなどに顕著だった。

 アジアでも軟調だった09年の経済を反映し、軍事費の伸びは前年比1.4%増にとどまった。アジアで最も軍事費の多い国は中国で、2010年の軍事支出は1190億ドル(約10兆円)と推計される。(c)AFP