【4月4日 AFP】(一部更新)アリ・アブドラ・サレハ(Ali Abdullah Saleh)大統領の退陣を求めるデモが続くイエメンで4日、南部タイズ(Taez)で地元政府庁舎に向けて行進するデモ隊に治安部隊が発砲し、医療関係者によると少なくとも15人が死亡、30人以上が負傷した。

 タイズでは3日にも治安部隊とデモ隊が衝突し、医療関係者や目撃証言によると、サレハ大統領のポスターを引き裂いた青年1人が射殺された。治安部隊は催涙弾や警棒でデモ隊鎮圧をはかったとされ、市内の病院関係者によれば、少なくとも1200人が負傷。多くは重傷で、実弾で撃たれた人もいるという。また、警官隊が負傷したデモ参加者をどこかへ運び去っているという目撃証言もある。

 国際人権団体によると、1月末に同国で反政府デモが発生してからの死者数は100人に達する見通しだ。

 一方、国営サバ(Saba)通信はタイズ州知事の話として、3日の衝突による死者はなく、治安部隊側に重傷を含む8人の負傷者が出たと報じた。

 イエメンの反体制派は2日、30年にわたって政権の座にあるサレハ大統領に対し、移行期間を設けた上で権限を副大統領に移譲するよう提案。サレハ大統領は3日、これを拒否していた。

■米政府、サレハ大統領に見切りか

 ただ、米ワシントンD.C.からの報告によると、3日の米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)は、米政府がサレハ大統領に見切りを付け、退陣に向けて協議に動き出していると報じている。

 米国は長年、サレハ大統領を支援しており、バラク・オバマ(Barack Obama)大統領も表だってはサレハ氏批判を控えてきた。しかし、複数の政府高官が同盟国に対し、デモはイエメン全土に拡大しており、もはや政権維持は困難で、サレハ大統領は退任することが妥当と伝えたという。退陣をめぐる協議はすでに1週間以上前から始まっているという。(c)AFP