【4月3日 AFP】民間人保護を目的にリビアで空爆を実施している多国籍軍が1日にリビア東部の石油都市ブレガ(Brega)の東約15キロの地点で実施した空爆で民間人4人を含む13人が死亡、7人が負傷した。リビア反体制派のアブドルハフィズ・ゴザ(Abdulhafiz Ghoga)報道官が明らかにした。

 ゴザ報道官は、反体制派の指導部は再発防止のために動いていると述べた。ブレガの東に位置する町、アジュダビヤ(Ajdabiya)にある暫定政府の渉外担当責任者イッサ・ハミス(Issa Khamis)氏によると、死亡した民間人は反体制派が拠点を置くリビア東部ベンガジ(Benghazi)から来た救急車の運転手1人と医学生3人だった。

 この救急車は反体制側の5~6台の車列の1台だったという。空爆は、反体制派がブレガに入ったことを祝ってえい光弾を撃っているときに起きた。ハミス氏は、多国籍軍の軍用機が攻撃を受けたと誤解して車列を攻撃したと述べた。

 多国籍軍を指揮する北大西洋条約機構(NATO)の報道官は、NATOの空爆で反体制派と民間人に死傷者が出たとの報道を調べているが、正式な調査はまだ始まっていないことを明らかにした。

■ブレガ、再び反体制派の手に

 反体制派のゴザ報道官は、首都トリポリ(Tripoli)の東800キロに位置するブレガを反体制派が掌握したことも明らかにした。AFPの記者は2日、ブレガとその周辺で戦闘が続いていると伝えていた。ブレガにいたカダフィ派は反体制派に追われて一時撤退していたが、再びブレガに戻った数日前から反体制派と激しい戦闘になり、3月31日以降、いずれの側がブレガを支配下においたのか明らかになっていた。

 反体制派は軽火器しか装備していない自派の部隊に後退を命じていたが、反体制派側の複数の証言によると、リビアの最高指導者ムアマル・カダフィ(Moamer Kadhafi)大佐派はブレガの大学に立てこもり、反体制派がその大学を包囲しているという。

 反体制派の別の報道官は首都トリポリ(Tripoli)から東に214キロのミスラタ(Misrata)で2日に激しい戦闘があったと述べた。これによるとカダフィ派は3方向からミスラタへの侵入を試みたが、反体制派に撃退されたという。この戦闘で反体制派の2人が死亡した。カダフィ派の狙撃手が道路にいる人を無差別に射撃し、車を運転していた民間人1人が死亡した。反体制派は狙撃手7人を殺害したという。

■停戦交渉提案でさや当て続く

 リビア反体制派の連合組織「国民評議会」を率いるムスタファ・アブドルジャリル(Mustafa Abdel Jalil)前司法書記(法相)は1日、条件付きで停戦に応じる用意があると述べたが、リビア政府の報道官は「反体制派が和平を提案したことなどない。彼らは無理な要求を突きつけただけだ」と語った一方、リビア政府としても平和を望んでおり、いつでも交渉に応じる用意はあると述べた。

 これに対し反体制派のムスタファ・ゲリアニ(Mustafa Gheriani)報道官は、カダフィ派が平和を望まず、退陣に追い込まれる前に国民の力をできるだけ弱めようとしていることの現われだと反発している。(c)AFP/Joseph Krauss