【3月21日 AFP】国連安保理決議(UNSCR)1973に基づきリビアに軍事攻撃を開始した英仏米軍を中心とした多国籍軍は20日、リビア最高指導者ムアマル・カダフィ(Moamer Kadhafi)大佐の邸宅を含む政府の複合施設を空爆し、カダフィ大佐の「指揮統制能力」を破壊したことを明らかにした。

 多国籍軍高官がAFPに語ったところによると、多国籍軍は「UNSCR1973を遂行中で、リビア国民や飛行禁止空域の維持に直接的な脅威を及ぼす標的に対し空爆を続ける」という。

 空爆により、カダフィ大佐が来賓の歓迎に用いるテントから50メートル離れた建物が倒壊した。

 一方、現地のAFP記者によると、トリポリ南部のBab el-Aziziyaでは対空砲火の中、住居や兵舎などから煙が上がるのが見えたという。

■米軍は「作戦の拡大」に否定的

 米軍はこれに先だって同日、多国籍軍の空爆でカダフィ政権の防空能力の無力化に成功し、飛行禁止空域の設定が無事遂行されたと発表。これを受けてロバート・ゲーツ(Robert Gates)米国防長官や米軍幹部は、今後米軍は目立った行動を取るのを控えるとの方針を示した。

 またゲーツ長官は、英国のリアム・フォックス(Liam Fox)国防相がカダフィ大佐を標的にすると示唆したことについて、多国籍軍は国連安保理決議の定めた目標の範囲内で行動すべきだと述べ、空爆の目標拡大に否定的な見解を表明した。

 英仏米軍はこれまでに巡航ミサイル「トマホーク」120発以上を発射し、リビア政府の主要施設への空爆を実施。アラブ諸国への西側の軍事介入としては、2003年の米主導によるイラク進攻以来、最大の規模となっている。(c)AFP/Mathieu Rabechault