【3月8日 AFP】米オバマ政権は7日、キューバのグアンタナモ湾(Guantanamo Bay)にあるグアンタナモ米海軍基地に収容されているテロ容疑者について、2年前の政権発足時から停止していた特別軍事法廷での新たな審理を再開すると発表した。

 オバマ大統領は同日、ロバート・ゲーツ(Robert Gates)国防長官に、新たな審理の開始を凍結する措置の撤回を命じるよう指示した。グアンタナモの収容施設自体の閉鎖というバラク・オバマ(Barack Obama)大統領の公約が遠のくことになる。

 ブッシュ政権下での特別軍事法廷設置に対し、オバマ大統領は上院議員時代、制度自体には反対ではないが、確かな法的根拠に欠けるとして反対していた。オバマ氏が2009年1月に大統領に就任すると、その数時間後にグアンタナモのテロ容疑者収容施設を1年以内に閉鎖すると宣言するとともに、同法廷での新案件の審理停止を命じていた。

 これを覆す今回の決定について政府高官は、「長期的にみてグアンタナモ湾の収容施設はわが国の安全を脅かしているという軍司令官や国家安全保障専門家らの判断に基づき、オバマ大統領は同施設を閉鎖する考えを変えていない」と述べた。

 同施設には現在も2001年9月11日の米同時多発テロの重要容疑者らや、アフガニスタンの戦闘地域から連行された人など172人が収容されている。(c)AFP/Stephen Collinson