【2月25日 AFP】リビア情勢が緊迫するなか、首都トリポリ(Tripoli)の空港や国境に国外脱出を図る外国人らが殺到し、大混乱となっている。各国もチャーター機や艦船を派遣して自国民の救出を急いでいる。

 トリポリ空港では、避難を急ぐ大勢の外国人が空港ターミナルに詰め掛けた。脱出に成功した人々は、食料や水が底をつきつつある現地の状況を語った。英政府のチャーター便でロンドン(London)のガトウィック空港(Gatwick Airport)に到着した女性(66)は、「リビアは地獄と化しつつある」と恐怖を語った。

 陸路で逃げる人々もいる。チュニジアの治安当局者によると、20日以降の4日間でリビアから国境を越えて避難してきた人は2万人近くに上り、チュジニア人、エジプト人、中国人のほかリビア人もいるという。

 欧州で最もリビアに近く、リビアにとって最大の貿易相手国でもあるイタリアは、最大150万人が北アフリカから脱出するとして、「破滅的な人道上の危機」を警告した。

■救出に追われる各国

 リビアから出国できなくなっているアジア各国からの出稼ぎ労働者は15万人を超えており、各国は対応に追われている。3万人以上がリビアで働いていた中国は、陸と空からの大規模な救出活動を開始し、24日にまず4000人をギリシャ・クレタ(Crete)島に運んだ。

 北東部ベンガジ(Benghazi)近郊の建設現場で働いていたという中国人(24)は、「建物の外に出て強盗に遭い、けがをした人もいる。本当に怖かった。もっと状況は悪化すると思った」と述べた。

 同じく避難してきたギリシャ人は、「現地の友人たちが守ってくれたが、突然殺されてもおかしくない状況だった。警察も機能していない、無政府状態だ」と語った。

 またあるエジプト人は、反体制デモの鎮圧に協力するよう当局から要請されたことを明かし、「断ると殴られ、拷問された」と訴えた。

 米国のチャーターしたフェリーもトリポリ港に到着し、米国人を含む数百人が乗り込んだが、波が高くマルタへの出港が遅れた。英国、ドイツ、ギリシャ、トルコ、ロシア、カナダ、オーストリアなども陸海空の各手段で自国民を避難させている。(c)AFP