【2月11日 AFP】パレスチナ自治区ガザ市(Gaza City)と境界を接するエジプトの都市ラファ(Rafah)で、ホスニ・ムバラク(Hosni Mubarak)大統領の退陣を求める抗議デモの影響でガザ市との境界にある検問所が2週間も閉鎖されたままになっており、エジプト側のパレスチナ人数百人がガザに戻れなくなっている。

 2週間前まで、ラファの検問所は1日500人が往来するにぎやかな場所だった。エジプトを訪れるパレスチナ人の多くは病気などの緊急治療が目的だ。

 だが、大規模抗議デモの発生でエジプト各地で統治機能が混乱に陥り、ラファでは検問所を警備していた兵士がデモ隊に攻撃を受けて逃亡してしまった。このため、ガザを実効支配するイスラム原理主義組織ハマス(Hamas)も、ガザ側のゲートを閉鎖せざるをえなくなった。

 ガザ側の検問所を管轄するハマスのガジ・ハマド(Ghazi Hamad)氏は、現状を5年前のイスラエルによるガザ封鎖に例えて「また封鎖状態が始まってしまった。数千人が身動きがとれなくなっている」と述べ、「ガザは再び巨大な監獄になってしまった」と危惧(きぐ)した。

 普段は大勢の人びとでにぎわうガザ側の検問所は、今は人影もなく数人の警察官が見回っているだけだ。駐車場でも空っぽのバスが、乗客のあてもないまま停車している。

 一方、エジプト側では見張りの兵士2人の人影は見えるものの、警察官や国境警備隊は前月29日に、遊牧民ベドウィン(Bedouin)のデモ隊に襲われて職場を放棄したまま戻っていない。この時の衝突では3人が死亡している。(c)AFP