【2月4日 AFP】エジプトのホスニ・ムバラク(Hosni Mubarak)大統領は3日、米ABCテレビのインタビューに答え、退陣したいが国が混乱に陥るためできないと語った。

 首都カイロ(Cairo)でインタビューにあたったABCテレビのクリスチャン・アマンプール(Christiane Amanpour)氏は、ムバラク大統領が「大統領でいることにはうんざりしており今すぐにでも辞めたいが、国が混乱に陥る懸念から辞められない」と語ったと伝えた。

 インタビューは、大統領退陣を求めるデモ隊と大統領支持派の衝突が2日目に突入する中、行われた。2日にはオマル・スレイマン(Omar Suleiman)副大統領が、デモ隊が全員家に帰るまでは、野党との対話は行わないと明言した。ムバラク大統領はデモ隊からの退陣要求を「混乱を呼ぶものだ」と批判した。

 1日夜、30年にわたり権力の座に就くムバラク大統領は、当選すれば6期目となる9月の大統領選には出馬しない意向を表明。一方、秩序ある移行という使命をまっとうするとしている。

 大統領はインタビューで、「人びとがわたしのことをどう言おうと構わない。わたしは今、わたしの国のこと、エジプトのことしか頭にない」「きのうのことは悲しかった。エジプト人同士が戦う姿など見たくない」と話した。

 アマンプール氏は「大統領は、タハリール広場(Tahrir Square)でここ数日の間にわたしたちが目撃した暴力に頭を痛めているとした一方で、責任は政府ではなく、エジプトで活動を禁止されている政党、ムスリム同胞団(Muslim Brotherhood)にあると語った」と伝えた。

 心情を問われるとムバラク大統領は「わたしは強気だ。絶対に逃げはしない。わたしはエジプトの地で死ぬ」と答えたという。

 米国のヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)国務長官はムバラク政権と反政府勢力に対し、権力移譲について「直ちに」対話を開始するよう促した。野党勢力はこれまでのところ対話を拒んでいる。(c)AFP/Samer al-Atrush

【動画】衝突続くタリハール広場(YouTube/AFPBB News公式チャンネル)