【11月3日 AFP】ソマリアの海賊による乗っ取りの成功件数は増加傾向にあり、武装組織化されて活動範囲も広がりつつあるとする国連(UN)の報告書が2日発表された。

 報告書は、ソマリア海賊対策などを話し合う安全保障理事会(UN Security Council)を前に作成されたもので、今年1~10月の乗っ取り成功件数は37回と、前年同期の33回を上回ったとしている。

 国際海事機関(International Maritime OrganizationIMO)の調べでは、各国艦艇などのパトロールが功を奏して、船舶への襲撃件数は前年同期の193件から164件に減少した。今年に入りNATO軍の艦隊だけで148件の攻撃を阻止することができた。だが、10月11日現在、まだ解放されていない船は18隻、人質は389人にのぼっている。 

■密輸や人身売買も

 ソマリアの海賊は武装組織化が進み、活動範囲を広げている。大型の母船と2、3隻の攻撃用小型モーターボートによる海賊の船団が現れ、「海賊行為グループ(Pirate Action Group)」と呼ばれている。活動範囲は紅海(Red Sea)の最南部やモルディブ近海にまで及んでいるという。さらに、密輸や人身売買などの新たな犯罪に手を染め始めていることを示す証拠があるという。

 国連の潘基文(パン・キムン、Ban Ki-moon)事務総長は、ソマリア海賊対策の特別顧問に、フランスの元閣僚、ジャック・ラング(Jack Lang)氏を任命した。ラング氏は現在、海賊対策の国際的な法整備に関する勧告をとりまとめているところだ。安保理は今月、ソマリア海賊に対する新たな決議案を採択すると見られている。(c)AFP