【10月24日 AFP】英王立国際問題研究所(チャタムハウス、Chatham House)がロンドン(London)で21日に開いた討論会で、法律専門家から米国がパキスタンなどで実施している無人機による攻撃について対立する見解が示された。

 米ノートルダム大学(University of Notre Dame)のメアリー・エレン・オコネル(Mary Ellen O'Connell)教授(法学)は、米国がイスラム系武装勢力を狙って無人機で攻撃するのは国際法に違反しており、停止すべきだと述べた。

 同教授は、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)やアフガニスタンの旧支配勢力タリバン(Taliban)を追うのは軍ではなく警察などの法執行機関の問題であるべきだと指摘し、「パキスタン、イエメン、ソマリアなど、米国が武力紛争に関与していない場所で無人機による攻撃を行う法的権利はないというのが最も強力な結論だ」と述べた。

 特に、米中央情報局(Central Intelligence AgencyCIA)がアフガニスタンとの国境に近いパキスタン北西部の部族地域で実施している無人機による攻撃は「パキスタン国内で強い怒りを引き起こしており、そのような攻撃を行う必要があるのか私は非常に疑問に思う」と述べた。

 オコネル教授は、パキスタン領内での無人機による攻撃は、パキスタンが明確な同意を与えていない上、米軍が活動しているアフガニスタンの国外で行われるため戦争行為として正当化することもできないと指摘した。

■法学者でも見解対立

 一方、米空軍で20年過ごした経験がある英ダラム大学(Durham University)のマイケル・シュミット(Michael Schmitt)教授(法学)は、無人機による攻撃は「完全に、正当防衛の法の枠内にある」と述べた。

 シュミット教授は、無人機による攻撃は国境を越えて活動する新しいタイプの戦闘員に対する正当な手段であり、攻撃対象となる戦闘員が拠点を置いている国が武装勢力への対応を拒否したり、あるいは対応ができない場合には、無人機による攻撃も正当化され得ると主張した。

 米国は今年、特に武装勢力が欧州の都市に攻撃を加える計画を持っているとの情報がもたらされたここ数か月間に、パキスタン領内での無人機による攻撃を大幅に増やしている。

 無人機による攻撃はアルカイダや、アルカイダと関係のあるイスラム武装勢力に対する非常に有効な手段だと複数の米当局者が話しているが、その合法性には曖昧な部分も残っており、米政府は無人機による攻撃計画の存在を公式に認めたことはない。一方でパキスタンは無人機による攻撃を国家主権の侵害だとして非難している。(c)AFP