【10月19日 AFP】2008年11月にインド・ムンバイ(Mumbai)で発生し、166人が犠牲となった同時襲撃事件をほう助した罪に問われているパキスタン系米国人デービッド・ヘッドリー(David Headley)被告が、パキスタンの情報機関「三軍統合情報部(Inter Services IntelligenceISI)」が襲撃計画の準備で大きな役割を果たしていたと供述していたと、英紙ガーディアン(Guardian)が19日、報じた。

 同紙が入手した、6月に米国でインド人の尋問官によって行われた計34時間におよぶヘッドリー被告の109ページにおよぶ尋問調書によると同被告は、ISI職員とパキスタンを拠点にする過激派民兵組織「ラシュカレトイバ(Lashkar-e-TaibaLeT)」幹部の間で頻繁に会合がもたれていたと語ったという。インド政府は同時襲撃事件の背後にラシュカレトイバがいたとみている。

 また同被告は、ISIは、より過激なグループから距離を置かれていた、パキスタン当局とつながりのある武装勢力を強化しようとしていたと供述したという。

 ヘッドリー被告はムンバイの攻撃の標的を調査したと供述しているが、同被告が実行したミッションのうち少なくとも2件にはISIからの資金も使われ、同被告は定期的にISIに報告していたという。

 だが、武装勢力に対するISIの統制は混乱に陥ることも多く、ISI上層部の多くはムンバイの攻撃があれほど大規模になるとは事件が起きるまで知らなかった可能性もあるとしている。

 ガーディアン紙の報道についてISIの報道官は「全く根拠がない」と述べた。ヘッドリー被告はパキスタン人の外交官と米白人女性の間に生まれたパキスタン系米国人。(c)AFP