【8月19日 AFP】イスラエルのメディアは18日、同国軍兵士が後ろ手に拘束されたパレスチナ人のそばでポーズをとる写真を新たに数枚、公開した。16日に元女性兵士が類似の写真を米SNS「フェースブック(Facebook)」に掲載していたことが発覚し騒動が起きたばかり。新たな写真も、やはりフェースブックに投稿されていたものだという。

■兵士たちの間で習慣化か

 新たな写真は、若いパレスチナ人女性をひざまずかせ周囲を兵士の一団が取り囲んでいるものや、けがをしたパレスチナ人の隣で兵士がポーズをとっているものなど。

 これらの写真を最初に提供した人権団体「沈黙を破る(Breaking the Silence)」のイェフダ・シャウル(Yehuda Shaul)氏はAFPに対し、「こうした写真を撮ることが(イスラエル軍)兵士にとって当たり前のことになりつつある」と述べた。

 同国軍の元女性兵士がフェースブックの「軍隊――人生で最高の時」と題した写真アルバムに、拘束されたパレスチナ兵の前で笑顔でポーズをとる自分の写真を掲載していたことをめぐっては、軍が「恥ずべき写真」だと強く非難するなど波紋が広がっている。

■問題の原因「理解できない」兵士の背景にあるものとは

 一方、元女性兵士は「何が悪かったの?理解できない。写真には暴力的なところも無礼なところもないのに」とメディアに語り、写真を掲載したことがなぜ軍に非難されるのか分からないと反論した。

 日刊紙ハーレツ(Haaretz)は18日、「ぞっとする軍隊での体験」と題した社説で、女性兵士が騒動の原因を理解していないことを疑問視し、「彼女が体験したことは、何十年にもわたる(パレスチナ)占領の中ではびこるようになった文化の現れだ。パレスチナ人拘束者を人間以下とみなしている」と指摘。

 さらに、2004年に問題となったイラクのアブグレイブ(Abu Ghraib)刑務所で血まみれの拘束者の横に得意げな表情で立つ米兵の写真を引き合いに出し、「パレスチナ人拘束者に屈辱を与えることが、軍隊生活における『最高の時』として思い出されるようなことがあってはならない」と論じた。(c)AFP/Marius Schattner

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