【7月28日 AFP】フランソワ・フィヨン(Francois Fillon)仏首相は27日、ラジオ番組のインタビューで、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)系の「イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ組織(Al-Qaeda in the Islamic MaghrebAQIM)」に誘拐されていた仏人男性が殺害されたことについて、フランスはアルカイダと「戦争状態」にあり、今後、北アフリカへの軍事的関与を強化していくと語った。

 フィヨン首相は、「われわれはアルカイダと戦争状態にある」「テロリズムとの戦いは今後も継続し、特にAQIMとの戦いは強化されるだろう」と語った。

 これに先立ち、ニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)仏大統領は26日、AQIMによるミシェル・ジェルマノ(Michel Germaneau)氏(78)殺害に対する報復を宣言するとともに、政府内で北アフリカ地域におけるフランスの今後の行動について協議を行った。

 しかし、政府関係者や専門家らは、何らかの行動を起こすにしても全面的な軍事介入には至らず、地元の対テロ部隊との連携強化にとどまるとの見方を示している。

 26~27日にかけてモーリタニア、マリ、ニジェールの3か国を訪問したベルナール・クシュネル(Bernard Kouchner)仏外相は、フランスは3か国のAQIMに対する戦いを支援すると明言する一方、同地域における「軍事力増強」を目指しているわけではないと語った。

 クシュネル外相は、フランス軍が北アフリカに基地を設置することはあるかとの問いに対し、「基地を作るつもりはない。われわれは非常に明快な防衛協定を結んでいる」と語った。

 フランスは、モーリタニアやマリ、ニジェール、アルジェリア南部にまたがる、サハラ(Sahara)砂漠南縁のサヘル(Sahel)地域諸国の大半の旧宗主国であり、現在もこれらの国の指導者層に影響力をもつ。

 また、西アフリカの旧植民地諸国とは軍事協力協定も結んでおり、地元対テロ部隊の訓練や調整も行っている。西アフリカ諸国には、毎年約3万人の仏人観光客が訪れている。

 一部の専門家は、広大な砂漠地域ではフランス軍の軍事行動の範囲は限定されると指摘する。あるフランスの対テロ専門家は匿名を条件に、「彼らは何か事を起こす時は大げさなんだ。テントや2、3頭のラクダに向けて空爆を行うというぐあいにね」「その辺をぶらついている間抜けな人間を2、3人くらい捕まえて、『よし、任務完了』というのさ」と語った。(c)AFP/Raphael Hermano

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