【6月15日 AFP】麻薬抗争がらみの事件が相次ぐメキシコで14日、麻薬組織とみられる武装組織による警察車両の急襲や、刑務所で起きた服役囚の争いなどで少なくとも43人が死亡した。

 14日早朝、ミチョアカン(Michoacan)州西部シタクアロ(Zitacuaro)で首都メキシコ市(Mexico City)に向かっていた警察の車列が武装集団に襲われて警察官10人が死亡、さらに負傷した警察官2人が搬送先の病院で死亡した。

 警察は現場から逃走した男らの行方を追っているが、まだ身柄は確保できていない。武装集団側も数人が死亡したが、武装集団は死亡した仲間の遺体や負傷者を現場から運び去った。

 警察は今回の襲撃は同地域の麻薬組織との関連はないと発表しているが、シタクアロはメキシコ史上最悪の抗争を連邦警察と繰り広げてきた麻薬組織「ラ・ファミリア(La Familia)」が拠点とする地域だ。

 またシナロア(Sinaloa)州政府によると、北西部マザトラン(Mazatlan)の刑務所で同日、服役囚の間で争いが発生し、服役囚28人が死亡した。このうち約20人は米国が薬物密売の最重要容疑者として行方を追っているホアキン・グスマン(Joaquin Guzman)容疑者が率いる麻薬組織「セタス(Zetas)」のメンバーで、争いは異なる麻薬組織メンバーの服役囚間の抗争とみられる。

 争いが起きた刑務所についてはシナロア州知事が前週、収監者数は6000人に達し、収容能力の限界を超えていると警告したばかりだった。

 さらに14日には、北部チワワ(Chihuahua)州の州都チワワの中心部で起きた薬物の密売人とみられる複数の男との銃撃戦で、警察官3人が死亡した。

 メキシコでは前週11日にも、チワワ州の麻薬更生センターや北東部タマウリパス(Tamaulipas)州で麻薬抗争がらみの襲撃があり、計39人が死亡したばかりだった。(c)AFP