【3月9日 AFP】インドネシア・バリ(Bali)島で2002年に起きた爆破テロ事件の黒幕の1人とみられる人物が9日、首都ジャカルタ(Jakarta)郊外で警察の対テロ部隊が行った急襲で殺害された。

 強制捜査が行われたのは2か所で、計3人が殺害された。警察は「検視中」として死亡した人物らの身元を明かしていないが、関係者がAFPに語ったところによると1人は、東南アジアのイスラム地下組織ジェマ・イスラミア(Jemaah IslamiyahJI)の指導者の1人で、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)で訓練を受けた爆弾製造専門家、ドゥルマティン(Dulmatin)容疑者とみられている。同容疑者は米政府が1000万ドル(約9億円)の懸賞金をかけて追っていた。

 しかしドゥルマティン容疑者の死が伝えられたのはこれが初めてではない。2008年にもフィリピン軍幹部が、タウィタウィ(Tawi-Tawi)島で発掘された遺体について、同容疑者だと思われると語ったことがある。

 インドネシア警察は記者会見で、ジャカルタの西に位置するバンテン(Banten)州パムラン(Pamulang)地域のインターネット・カフェを急襲した際、銃撃戦となりドゥルマティン容疑者とみられる男が死亡したと発表した。また今回の捜索は、テロ戦闘員訓練所が発見されたアチェ(Aceh)州の対テロ掃討作戦と連動したもので、これまでに16人を逮捕したと述べた。一連の強制捜査は、月内に予定されているバラク・オバマ(Barack Obama)米大統領の訪問を前に実施された。

 年齢は30代後半とされるドゥルマティン容疑者はバリ島爆破テロ事件で、JIの爆弾攻撃の計画と実行を支援した罪に問われている。

 JIはアルカイダに触発されたアジアのイスラム原理主義グループで、最終目標としてインドネシア、ブルネイ、マレーシア、シンガポール、フィリピン南部を原理主義的なイスラム教国として統合することを掲げ、テロ攻撃を手段として各国政府を揺るがそうとしている。

 ベルギー・ブリュッセル(Brussels)のシンクタンク「国際危機グループ(International Crisis GroupICG)」によれば、99年4月以降これまでにJIは、インドネシアで50件を超える爆破事件を実行した。この中には外国人観光客を中心に202人が死亡した前述のバリ島爆破テロや、20人が死亡した05年のバリ島同時自爆テロ事件も含まれている。(c)AFP/Presi Mandari