【2月19日 AFP】(一部更新)世界第3位のウラン産出国、アフリカ中西部ニジェールの首都ニアメー(Niamey)で18日、軍事クーデターが発生し、ママドゥ・タンジャ(Mamadou Tandja)大統領(71)が失脚した。

 大統領が出席して閣議が行われていた大統領官邸を兵士らが襲撃して銃撃戦が発生し、市内各地で銃撃音や爆発音が響いた。この銃撃戦で少なくとも3人が死亡したと報じられている。

 その後、「民主主義復興最高評議会(Supreme Council for the Restoration of DemocracyCSRD)」を名乗る軍事政権が「緊迫していた政治状況を終わらせることを決断した」との声明を国営テレビで読み上げ、憲法の停止と政府の解散を宣言し、国境の閉鎖と夜間外出禁止令を発令した。また「民主主義の回復と良い統治を目指そう」と国民に呼びかけた。軍事政権のトップにはクーデターで中心的な役割を果たした部隊の指揮官、サル・ジボ(Salou Djibo)氏が就くという。

 報道によると、タンジャ大統領は軍の兵舎に連行され、閣僚らも別の場所に拘束されている。ニジェールを拠点に活動するあるアフリカの外交官は大統領が拘束されたことを確認した。国営ラジオは通常の番組を停止し、軍歌を流している。ニアメーは人通りもなく、兵士が市内各地で警戒にあたっており、おおむね平静を保っている。

 元軍幹部のタンジャ大統領は議会と憲法裁判所を解散させ、前年8月に大統領任期を3年延長する新憲法案に関する国民投票を強行。賛成多数で任期は延期されたが、野党が批判を強めていた。

 米国務省のフィリップ・クローリー(Philip Crowley)報道官は今回のクーデターの原因を作ったのは任期延長を画策したタンジャ大統領自身だと述べた。フランスの外交官は、大統領警護隊のメンバーもクーデターに加担したと指摘している。

 西アフリカ諸国経済共同体(Economic Community of West African StatesECOWAS)がニジェールの参加資格を停止し、欧州連合(EU)が開発援助の中止を決め、米国が制裁措置に踏み切るなど、国際社会からの孤立も深まっていた。(c)AFP/Boureima Hama